優先株式を設計するにあたり、経営陣やそれぞれの種別の株主との間で様々な利害関係が発生します。どのような利害関係が生じるのか、またそれを踏まえてどのように設計するのがいいのかについてレクチャーします。
目次
上田祐司
株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。
公式サイト: https://yujiueda.com/blog
Twitter: @yujiyuji
優先権のある優先株についての説明を、最後していきたいと思います。
いろんな設計があるのですが、今日お話しする内容があっての設計を、また考えてもらわないと、意味がない部分になりますので、是非、知っていただければと思います。
まず、最初にレオさん、優先株、改めて一つでもいいので、どういう特徴があったか お話してもらっていいですか?
まず内容の一つとして、会社を清算する際に普通株式を有する株主、普通株主に先立って、残余財産の分配を受けることができる権利などを、有するなどの特徴があると思います。
そうですね。
では、アカネさん どんな感じでそれを設定していましたか?
一つは会社が撤退するというタイミングで、投資した額の何倍で、確実にリターンを入れるかって保証を、倍数で決めるというのと、もう一つはその倍数を、各株主に分配するよりも先に得るのか、その分配した後、まず先に分配を得ることができるのか、参加せずに分配されるのかっていうような、参加権の違いがあったと思います。
はい、そうですね。
分配が優先されて1倍取った後に 参加できるかどうか、という違いがあります。
残余財産の優先権の順番
今日は、普通株主がいてA種株主がいて、その後、B種株主が出てきた時に、そのB種株主の残余財産の 分配の優先権というのは、A種と同列なのか、A種より優先されるのか ということについて、話していきたいと思います。
ここまでは大丈夫ですか?
はい。
では、ちなみにどうだと思います?
A種の方が 先にリスクを背負っているので、A種の方が優先された方が良いと思いつつ、それだとB種の資金調達が難しく なるのではないかなと思います。
そうですね。
先にリスクを背負った人の方が、優先されるべきなのではないか、というのは、その通りなのですけれど、それを言うと創業者が一番最初ですけれど、なぜ優先されてないと思います?
エクイティよりも、デットの返済の方が優先されるのと同じで、リスクを背負っている方がリターンも大きい分、優先順位も後になるのですかね?
最初にお金を出している人は、総体的にハイリスク、ハイリターンを選んでる という傾向があって、最初に出しているので、たくさんのリターンを取れますよ という意味では、優先されているのですけれども、安全かどうかという意味では、あまり優先されていません。
先程、アカネさんが言ってくれた通り、それはA種からしたら俺の方が上だろ 先にリスク取っているから、と言いたいところはあるのですけれど、得手してB種の方が、同列だったり上だったりする、そういう事になっています。
調達の際に?未来思考により上にしがち
ちなみに日本では、 どうでしょう?
10社見て7〜8社はA種よりB種の方が上です。
なぜなら経営者がお金を集める時に、例えばB種の投資家を回ってますと、時価総額を引き上げたいと 思っているのですけれども、B種の投資家からしたら、いや、A種と横並びだったら 時価総額これぐらいでもいいけれど、俺ら単独で最優先してくれるなら、これぐらいの時価総額でもいいですよ とかって言うわけですよ。
もしくはそういう話がなかったとしても、経営者さん、A種株主に 気を使う必要があるんですか?って。
当時、お金を出してくれて お世話になったというのはわかります。
でも、今日から未来において、A種株主は何の役にも 立たないじゃないですか。
一方、僕らは今からお金を入れるか どうか悩んでいるから、僕らにちゃんと目線を合わせて、僕らを優先してくれないと 話がまとまらないじゃないですかと。
これはB種株主が言うかというと、 あまり言わないですけれど、B種ももしかしたら 心の中で思っているかもしれないし、経営者自身ももしかしたらその事を、心の中に思っているかもしれません。
別にA社に気を使ったところで、お金を出してもらえるわけじゃないしな みたいな。
B種に対してできるだけ 優先する契約を出して、ともかく今回の資金調達を まとめたい、みたいな。
この話についてはどうですか?
利害が反しているので、どうやってルールを決めるかは 難しいなと思います。
そうですね。
それはA種とB種が利害が 相反しているって事ですよね?
そうです。
経営者とB種が 協調しそうな気はしますよね。
そうですね。
別の言い方をすると、ガイアックスは結構アーリーフェーズで お金を入れているのですが、本当にいっぱい後の投資家が入ってきて、後の投資家の方がやっぱり 投資をする時の発言権をお持ちなので、ともするとアーリーの人が 冷遇されるケースも多かったりしますが、これはしょうがないかな、というか、アーリーフェーズで戦う僕らは、アーリーフェーズで戦う僕らの 戦い方を戦うべきであって、そこを争うべきではないかなと 思っているのですけれど、そんな傾向になりがちです。
ただ、そもそも残余財産の 分配の優先権ということを、優先したいという気持ちは わかるのですけれど、何故そもそもそこが重要なのかわかりますか?
どういう時にこれが関わってくると思いますか?
残余財産分配に関して。
IPOする際は、もう一切関係ないので、エグジットした際とか 撤退する際ですかね?
そうですね、エグジットと言うのは、一定の金額での売却です。
バイアウトという形の エグジットですよね。
IPOもエグジットではあるので。
一定金額で売却できた時のエグジットだったり、もう会社がにっちもさっちもいかなくて、クローズするケースもありますが、実はにっちもさっちもいかなくなって、安値で売却する時って みんなあまり興味ないので、むしろ重要なのは、一定金額が付いた時に重要なんです。
このことからどういう設計にすべきか 何か想像つきますか?
エグジットのパターンと順序の影響は?
エグジットのパターンと、この順序をどう設計するかというのが、実は密接に影響していて、ここをちゃんと設定しない事には 良い形にならないです。
具体的な話をしますけれど
ケーススタディ
ある会社があります。
今、2億円で売りませんか? という話が来ています。
皆、2億円で売ろうかなと悩んでいる。
これから経営していったら どうなるかというのを、すごく冷静に分析した結果、7/10の確率で倒産する。
2/10の確率で3億円になって、1/10の確率で4億円になる。
こういう状況です。
さぁ、レオさん、こういう状況で どうするのが良いと思います?
1/10の確率でリスクとったとしても、2億円しか増えないというか、結局4億円にしかならないし、それだったらもう今、倒産する確率も7/10あって高いならば、もう今すぐ売却した方が 良いのではないですかね。
そうですね。
ちなみにレオさん 1/10の確率で4億円ですけれど、これがどれぐらいだったら 継続させた方が良いと思います?
そうですね。
完全にフィーリングですけれども、6/10ぐらいの半数以上の確率があるなら、まぁやってみる価値はあるんじゃないですかね。
6/10の確率で 4億円になるならやっても良い。
そうですね。
そうですね。ちなみに1/10の確率だけど、4億円ではなくていくらぐらいだったら やってもいいと思います?
それだったら例えば20億円とか、10倍とかそれぐらいだったら、やってみる価値はあるのではないかなと思います。
そうですね。
まさにそんな感じですよね。
やってみる価値があるかって言ったら 20億円ぐらいですけれど、20億円ぐらいでちょうど トントンなイメージなので、50億円とか100億円でないと、ちょっとモチベーションが湧いてこないですよね。
だったら2億円で利確しようかな、みたいな。
それがこの会社を取り巻く人たちの素直な感情です。
優先株主の判断は?
ちなみにその時、優先株主が2人いました。
A種優先株主は 最初にお金入れているのですけれど、1億円入れていて1倍で100株持っています。
B種優先株は2億円入れて1倍で80株持っています。
ここまで大丈夫ですか?
はい。
この時優先株主は、A種優先株主とかB種優先株主は、どう感じそうですか?
では、まずB種がA種より上だった場合。
B種のラウンドの時に経営陣とB種が、俺ら優先しようぜって言って B種優先してしまいました。
B種が優先です。その後A種です。
その後みんなで分配します。 こういうルールだったら?
結局売却価格が2億円ならば、自分の突っ込んだ分よりは 確実に低くなってしまうので、B種の方からすると損した感じですよね。
B種は2億円突っ込んでいるわけですよね。
B種が最優先だったらいくら持っていけます?
2億円全部ですか?
はい、2億円全部持っていけますよね 最優先だから。
A種は?
A種は最優先でも1億円しか 持っていけないですかね。
B種が最優先なので。
じゃあA種は0になる可能性もあるんですかね?
0になる可能性ではなく0ですね。
じゃあ、普通株主である経営陣は いくら持っていけます?
0ですよね。
0ですよね。
そうするとA種株主とB種株主は、これで、どんな判断しそうですか?
B種からすると、突っ込んだ分は回収できたけれど、A種からすると、何で1億円突っ込んだのに、0しか取れないんだ、と、異議を唱えそうですけれどね。
そうですよね。
これA種からしたら未来に賭けたくなりますよね。
ちなみにB種とA種が同列だったら どうなると思います?
2億円がA種に6,666万円いって、B種に1億3,333万いくっていう。
それだったらまあ 妥当なのではないでしょうか。
そうですね、辛いけれど、このまま頑張ったところで、もっと辛いから、そこで手を打とうかってなりますよね。
アカネさん、どうですか?
A種の投資家は、B種と同列に扱ってもらえるか、最初わからないので、倒産した時は本当に報われないんだな、というのが、わかりますね。
そうですね。
B種が投資する時に、同列なのか上なのかっていうのは 確定しているのですよ。
では、その際にB種の方が 優先という風になっていたら、A種で投資する際は、もう何も返ってこないかも しれないと思って、投資した方がいいかもしれないですね。
そうですね、その通りです。
B種がA種より上だった場合、この売却価格2億円の売却のディールって、まとまると思います?まとまらないと思います?
確実に上場を目指すのであれば、A種は気にしないと思いますが、そうでないのであれば、A種株主が反対するのではないですか。
売却したら上場も何もないですけれどね 売却したので。
であれば、まとまらなさそうですね。
そうですよね、まとまらないですよね。
つまりB種が、がめった結果、まとまらなくて、B種も売り時を逃す という流れになってしまうわけです。
意味わかりますか?
はい、わかります。
はい。
これは初めからB種がA種と同列としておけば、この会社、冷静に確率考えたら 未来ないよねってなった時に、みんなが分け前をもらえるので、じゃあ、この辺でお開きにして おきますかって言ったら、皆そうですね、お開きにしておきましょうか となるのですけれど、B種があまりに全てを取りに行き過ぎなので、この辺でお開きにしましょうかって言われても、A種からしたら いや、俺どうせ0だったら、このまま未来を楽しみにしたいよ って言いそうな感じ。
つまり、B種がハッピーになるためにも、B種がA種より上というのは、本当なのかなという話なのです。
残余財産分配の優先権なんて、売却の時にしかインパクトがないわけです。
意味わかりますか?
売却の時にしかインパクトないにも関わらず、そのルールの設定のせいで、売却ができないという わけのわからない事に陥ってしまうので、非常にそれはB種を優先すべきか というと難しい話で、正直、同列の方が、後で揉めなくてスムーズに行くのでオススメだし、日本は結構B種がA種より上が多いのですけれど、アメリカは、だいたい同列です。
日本でもやっぱりわかっている会社は、B種とA種、同列にしてきますね。
結局が後から出資する方が、A種の人は2〜3億円しか出さないけれど、B種の人は5億円、10億円出すし、C種の人は20億円、30億円出すから、プロラタにしたところで、プロラタというのは 同列にして割合で分けたところで、C種からしたら痛みはないのですよね。
ただ、議決権のバランスを考えると、A種とかB種が賛成するようにしておかないと、C種だけだったら賛成が通せないので。
経営陣の判断は?
続いて、同じような話ですけれども、経営陣はどう判断すると思いますか?
経営陣は普通株で60%株持っているとしましょう。
その60%は2人まとめて60%という事ですか?
いえ、経営陣です。 投資家さんではなく創業者ですね。
売却しても1円も入ってこないので、引き続き事業を継続すると思います。
1/10の確率でも、4億円になることを目指しにいくかなと思います。
そうですよね よほどこのA種株主さんとB種株主さんに、失礼な事をしてはダメだと言う モラルが高くない限りは、事業継続するでしょうね。
もっと言えば、売却価格2億円のオファーがあった事も、内緒にするかもしれないですよね。
言ったらややこしくなるので。
ですので、よく契約書の中に、売却のオファーがあったら開示する事 というのが入ってたりします。
投資契約の中に。
ちなみに、この経営陣がどう判断すべきかは、もう少し後で細く言いたいと思いますけれど、A種の投資家から代表で 社外役員が入っていたりします。
またB種の優先株式のホルダーの投資家から、代表で取締役が社外役員として 送られているかもしれません。
その人たちも経営陣なんですよ。 何かわかりますか?
例えば、ガイアックスが出資していたとしたら、ガイアックスが株主ですけれど、ガイアックスの代表で スタートアップスタジオのアカネさん、あの会社の取締役として 入っておいてよって言ったら、アカネさんが意思決定しないと いけないわけですよね。
その辺りも後で説明したいと思います。
それも一緒の経営陣の一員なので、一緒になって意思決定しなければいけない という事ですけれど、
株主代表訴訟のリスク
それがこの 株主代表訴訟のリスクなのです。
これはどういう事かというと、アカネさん的に例えば ガイアックスの代表として行って、ガイアックスの利益がある時に 賛成票を入れると、株主代表訴訟のリスクがある というのは何かわかりますか?
すみません 株主代表ってどういう意味ですか?
株主代表訴訟というのは、株主さんが経営陣を 訴えるリスクがあるという事ですね。
ここでいう株主さんは、例えば初期フェーズで投資した 普通株ホルダーのエンジェルさん。
それで言うと、普通株を持っている株主が、B種株を持っている代表を 訴訟するっていう事ですね。
B種株を持っている代表というか、あくまで経営陣を訴訟するだけであって、ガイアックスを訴えにくるのは 不可能ですね。
アカネさんを訴えにくる感じ。
というかアカネさんを含む、そういった意思決定をした経営陣を 訴えにいくって感じですね。
何でですか?
そのルールを作ったのも経営陣なので、自分たちが得するようなルールを作った のではないかという事ですか?
そうですね。
今回売却するというのは、誰の利益の為に、会社で意思決定してるんだ ってそういう話です。
経営陣は誰のために 頑張らないといけないと思います?
会社を保有する株主ですかね。
そうですよね。
では、その2億円で 売却するって意思決定した瞬間、会社を保有する株主さんは 儲かる?儲からない?
普通株主さんは。
儲からないです。
そうですよね。
ましてや、そんな俺の犬だと思って、アカネさんがそこに座っていると思ったら、あいつ出身会社の ガイアックスを儲けさせるために、そんな意思決定して許せない、と、訴えるリスクがあるという話です。
どうですか?
そうですね、そうなりますね。
それは私がまだガイアックスに所属したままで、出向しているっていう設定ですね。
そうですね。
ちなみに出向してようが、してまいが、A種優先株とかB種優先株だけ優先して、普通株主のことを、取締役の一員という立場でいる人間は、必ず普通株主の事を考えて 経営しなければいけないのですよ。
優先株主のことも考えて経営するし、A種の事も気にするし B種の事も気にするけれど、普通株主の事も気にしないといけないのですよ。
で、誰を一番気にしなければ いけないかって言ったら、普通株主なのですよ。
何て言うのかな、例えば日本で減税、減税って言うけれど、じゃあ減税でメリットを感じるべきは 誰なんだって政治家に聞いたら、もちろん、1番底辺にいらっしゃる人々が、生活が楽になる事を重要視して 減税しますっていう話じゃないですか。
そんな金持ちの事を気にする必要ないのですよ。 はっきり言って。
同じように取締役たるもの 一番気にするべきは、契約で優先的な権利を持っている人たち、のことなんか気にする必要はなくて、普通株主の人に失礼な 意思決定をしていないかどうか、という観点で物事を考えないといけないのです。
では、これ結局どうするかって 言ったら色々ありますが、特に今回の枠組みだと、アカネさんとか狙われがちで、自分の利益のために意思決定したでしょう。
取締役の職務を忘れてと突っ込まれがちです。
そういう人はちょっと僕、利害関係者なので、このテーブルから席離れますって、意思決定に参加しない方が セーフティですよね、アカネさんは。
そういうことができるのですね?
できます。
訴訟されて議事録とか参照された時に、そうしているか、しないで やっぱり変わってくるので、アカネさんの損害賠償リスクは。
で、これ別にガイアックスは払わないですからね。
アカネさん個人が払わないとダメですから 損害賠償くらったら。
アカネさんが これ、上田さんの指示ですよねって言って、僕にさらに損害賠償を持って来ることは 可能かもしれないですけれど。
もう一つはやっぱり独立委員会作って、そっちで意思決定してもらう。
いや何か、確かに分配の枠組み考えたら 普通株主に損だけど、これ普通に継続したら会社として 価値下がるの目に見えているから、いや、それ万一の確率で普通株主も 儲かるかもしれないけれど、それはもう非常に悪い賭けだから しょうがないですよ。
売却すべきですよっていう、そういう第三者からの意見をもらって、しょうがないですねって言って、賛成するスタイルの方がセーフティですよね。
間違えても取締役会の場でアカネさんが、いやガイアックス結構A種で金出したのに、うちに優先させるために、ここはこれでディールまとめましょうよなんて、議事録が残ったら マジ感じ悪いって感じですね。
もう一つはドラッグアローンっていう、そういう契約を投資を受ける時に 入れてしまうのですよ。
入れてしまうって言うのもアレですけれど、優先株主がみんなでこぞって、今回は売却しましょうって決めたら、経営陣はそれに従わなければ ならないっていう条項を、投資時に入れろって 優先株主が言ってくるのですよ。
それはどう思います?
すいません もう一回言ってもらっていいですか?
今回2億円の売却話が出てきて、取締役会でさあどうしますか という話になっているから、話がややこしいんですね。
そもそも2億円の売却話が出てきた時に、取締役会がさあどうしましょうか と議論するから、訴えられるリスクがあるので、A種株主とかB種株主を集める時に、A種株主かB種株主が 売却話が出た時は俺らで決めます。
で、俺らで決めたら、取締役会はそれを了承して、且つ60%持っている代表は 必ず賛成してください。
それを飲まない限り今回出資しません って最初に言ってくるのですよ。
それも含めて投資を受けるかどうか悩んで、よし、ここは投資を受けようって その契約を食べたら、後で取締役決議で決議することなんか なくなるわけですよね。
形式的には決議しますけれど、もう事前契約で抑えられているので、株主から訴えられても、いやいや、あの時、反対したくても無理ですよ。
それ込みでお金食べちゃってるので って言えるので。
何かわかります?
その方がスムーズでいいですね。
そう、その方がスムーズです。
ただ、もちろん経営者からしたら、こういったドラッグアローン という条項なのですが、例えば、ガイアックスさん 出資してくださいよって言って、いいですよ、じゃあ1億円出資します。
うちから契約の時、ドラッグアローン 入れてくださいねって言ったら、え?ガイアックスの意思決定で 会社売却できるのですか?
そんな条件飲みたくないですよ って話になるのですよね。
なので日本だとあまりドラックアローンが、契約書として入れさせてもらえるか どうかっていうのは、経営陣の反対が強いので なかなか難しいかもしれないですね。
向こうだと割と一般的ですか?
向こうだと一般的ですね。
ちなみに日本だと、この株主代表訴訟が 発生するなんて聞いたことないです。
向こうだと当たり前です。
アメリカだと別に普通の話ですけれど。
日本だと議事録を気にする とかっていう文化も正直ないです。
あくまでも理論的な話はずっとしていて、ここまでやっている会社なんか、日本に100社あるとして1社、2社ぐらい じゃないかなって気がしますけれど、普通に物事を考えていったら、こういう事は重要ですよ という話ですね。
今の話でガイアックス側が嫌がるのって、経営者がA種株主を守ってくれないのではないか という考えですか?
経営陣が嫌がるんですね。
僕が頑張って育てた会社を、投資家の意思決定で売却されるなんて 私はいやだって言って経営者が嫌がります。
日本の投資家は、VCとか、うちもそうですけれど、経営者がそこまで反対するのなら、わかりました、今回この条項なしで 結構ですって言わざるを得ない。
なるほど、理解しました。
ドラックアローンもいろんな条件があって、さすがにごねたって上場しなかったら、ドラックアローン条項を 発生する形にしてくださいとか、さすがに20億円で売却できるのだったらとか、100億で売却できるのだったらとか、5年経って50億円で売却できるのだったらとか、そういういろんな条件を付けながら 残すケースもあります。
ただ、こういうような感覚が 重要ですよっていうことです。
未来志向で調整は可能
最後ですが、結局、残余財産分配権の1倍だとか 参加権は何のために付けるかって言ったら、将来売却する時に ちゃんと果実が取れるかどうかだけど、果実が取れるかどうかも議決権が必要だから、他の人の事も慮りながら、自分がちゃんと果実が取れるように 契約をしないといけないのですが、あまりがめっても結局 ハッピーになれませんよって話ですが、グルっと話し戻って、さっきで言うB種が最優先で A種が反対していたとしたら、どうしたらいいと思います?
2億円丸々B種が持っていくから A種が反対しています。
そうなったらどうしたらいいと思います?
同列の設計にする。
そうですよね、その通りです。
投資時に普通は決まってるのですけれど、投資時はがめっておいて、これ、A種にも金配らないと A種賛成してくれないと思って、B種がなんとしてでも まとめたいと思ったら、A種に俺の取り分いくらか渡すから、これ賛成しようぜ と言いにいけば済むだけの話です。
何かわかります?
資本主義社会というのは未来志向なので、色んなトラブルがあって 色んなわけのわからない事が起こっても、結局、経営陣なり 仕事ができる人というのは、過去の合意を全てかなぐり捨てて、これでまとまるならば、これで行きましょうよって、自らがリーダーシップをとって 調整しにくいくっていうのが重要なのです。
もちろんそこで 上位から同列にするっていうのは、贈与とも言えるので 贈与税のリスクがあるのですけれど、そういう贈与税のリスクも気にしながら、トラブルが起こらないように調整していく というのが重要になるかなと思います。
それと全く同じ話ですけれど
経営陣にインセンティブ設計
経営陣が結局 賛成しないという事に関しても、もしかしたら経営陣にインセンティブが必要です。
例えば2億円で売却するっていったって、僕がガイアックスで投資家だったら、これ本当に2億円に着地するのか、デューデリした結果 1億5,000万円になるのか、2億円で売却するっていう 意識決定を持った上で、いやー、うちの会社2億円で 買い手がいるけれど、もっと高い値段で買いません?って言って。
仮に3億円で買ったところで、2億円で買うっていう会社もいますから、そんなリスク低いですよみたいな感じで、もっと高値で売れる 可能性だってあるわけです。
何となくわかりますかね?
ただ、少なくとも2億円で売った時に、経営陣が0円です。
2億5,000万円で売っても 0円ですって言ったら、経営陣がモチベーションが 上がるわけがないです。
ですので 売った金額の例えば5%は経営陣に、インセンティブを渡す設計をした方が無難です。
これは経営陣自らが言ってくる人も、そんなふてえ野郎は なかなかいないですけれど、僕が株主なら経営陣に言いかねないですね。
これをちょっと設計しましょうかって言って、僕の方で他の株主に言っておきますよ、僕の方で調整しますよ、みたいな。
ともかくそんな感じで 結構、色々後付で調整はできるのですが、そんなパターンがあるという話です。
では最後、質問とかありますか?
ここまで設計している会社は、あまりない、とおっしゃっていたと思いますが、実際にトラブルになっている会社が多いのですか?
そうですね、5社、10社ぐらいだったら 調整できるのですけれど、50社ぐらいになるともう調整できないので、A種、B種、C種、D種とか。
そこまでなって 調整できない時もあるでしょうね。
その時は諦めるのではないですか。
もっと高い値段で売れるか 頑張る、みたいなのとか。
なるほど、わかりました。
仮に10社で調整できるけれど、本当に調整いくのかって言ったら 諦めている人も多いです。
会社が苦しくなった時、社員さんに給料を減らすっていう事をせずに、頑張るという人も多いのですよ。
でも、このまま頑張ったところで、会社が厳しくなってきたら早めに社員さんに、ちょっと給料減らさせてもらえませんか? 相談させてくださいって言って、え?この前合意したじゃないですか。
合意はしたけれど条件が変わりまして お願いしますよって言って、いけるかどうかって本当 経営陣の力量とかによるのですよね。
もっと言えば、ところで今、株価安いから 個人資産を会社に出資して、持株会で金出してよ、みたいな。
もうそれで会社も一服するしって言って、とかまでいく人がいるか?いないか? という話です。
やっぱり仕事ができる人というのは、ありとあらゆるレベルで ありとあらゆる提案をして、ありとあらゆる形で譲歩を引っ張ってくるので、結果、しぶとくなってくるという話です。

