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ベンチャーファイナンス 基礎知識編(9) 創業直後での手軽な資金調達 – J-KISSでのファイナンスの概要

立ち上げたばかりの新規事業を経営する経営者にとって、交渉をしながら進める優先株の設計コストは高いものです。J-KISSなど、立ち上げ初期の負担を削減するために作られた資金調達のフォーマットについてレクチャーします。

上田祐司

株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。

公式サイト: https://yujiueda.com/blog
Twitter: @yujiyuji

富士茜音

ガイアックス 2020年入社

Twitter: @fuji_akane

小林玲雄

大学生 (ガイアックスインターン)

Twitter: @Koba06399647

上田

これまで優先株の増資による 資金調達についてお話をしてきました。
これはこれで結構エレガントで 素晴らしい手法ではあるのですが、シードのフェーズ 創業直後のフェーズだと、なかなかしっくりこないところが あるのではないかなと思っています。
で、今日はその創業直後における資金調達を、どのようにやっていけばいいのか ということについて、お話をしていければと思っています。

創業直後での優先株式増資のデメリット

上田

まず優先株式増資。
これまでお話してきた 優先株式増資のデメリット、これって例えばどんなのがあると思いますか? では、レオさん。

レオ

例えば優先株式そのものの 価格変動などが著しくなくて、株式の売買で利益を確保しようとする投資家には、ちょっと旨味の少ない株式であるので、買い手となる投資家探しが難しい、といったデメリットが 挙げられるかなと思います。

上田

なるほど、株価がちょっと 高すぎるということですか?

レオ

そうですね。

上田

そうですね 高すぎると旨味がなくなりますので。
アカネさんどうですか?

アカネ

前回までのレクチャーでもあったように、A種株式B種株式などの株主同士での 利益が一致しない場合などもあるので、ルールを決めるのに時間がかかるので、創業直後はあまり 時間を割きたくないというところで、デメリットなのかなと思いました。

上田

そうですね 本当ベンチャー企業の経営陣からすると、事業に集中したいので、特に体制が 整ってきたらまだいいのですけれども、創業直後でリソースが少ない時に、そういうところに 時間をかけてられないっていうのは、すごく大きいニーズではありますよね。
事業を伸ばすということが みんなの利益なのですが、投資家が入ってきて、投資家が支援してくれたらまだしも、投資家との契約に経営陣の時間を 取ってしまうという、おーい、何しに来てるの? という話になるので、そこは本当に重要かなと思います。
改めてデメリットを整理すると

上田

一つはこういった契約書とか 利害関係を調整するという、そういったような対応が すごくコストがかかりますということが一つ。
一つは先ほどレオさんが言っていただいたのと、ちょっとニュアンスは違うのですが、できたばかりの会社で半年経った状態で、この会社の価値がいくらなのかというのを、みんなで決めなければならないというのが 大変だっていうことなんです。
で、優先株投資の時のイメージって、すごいついていらっしゃる わけではないと思いますが、増資する時は普通 オークション的に決めるわけです。
うちの会社はこれぐらいの 価値だと思うのですけれど、どうですか皆さん?みたいな。
みんながいやいやそのぐらいの価値だよね。
じゃあ、お金これだけ用意します。
ぴったしカンカンですって言って 話が終わればいいのですが、実際は、いや、俺1億しか出さないけれど、時価総額1.5倍でもいいよ みたいな人もいれば、3億出すけれど その時価総額高すぎない?みたいな。
それが9掛けぐらいだったら 乗るけれど、みたいな。
そういったような人達がいっぱい出てきて、それである株価で、じゃあ皆さんこれでいいですか?みたいな。
じゃあこれだけ 僕らが資金調達できましたね。
じゃあ今回それでやりましょうって言って、リードキャピタルが メインになったりもするのですが、多くの株主と喋りながら調整して、株価を揃えなければならない というようなことが必要になってきます。
で、これが重たいというわけです。
もちろんオークションする中で最高値にしますので、ある意味アーリーフェーズで投資して、工数かけた割に実態もわからないし、その事業が出来上がっていたら また評価もできるのですが、夢と希望しかない状態で、なかなか事業評価もできないし、難しいし、で、実際それでキャピタルゲインが高値で設定されて、利益が出てこないっていったら 投資家もやってられないので、そこら辺がちょっとボトルネックの1個かな というのがあります。
で、もう1個これが結構重要なのが、優先株増資をしてしまうと 株の種類が増えます。
株の種類が増えるとどうなるかっていうと、株主総会がそれだけで増えてくるわけです。
これまで普通株主しかいなければ 株主総会1個でよかったのが、二つ目の種類が出てきますと、普通株主の総会 種類株主の総会、そして全体の株主総会という 3つになったりするわけです。
それ以外にも承認事項がどうなっているとか、非常に増資後の企業経営が、大変になってしまうというデメリットがあります。

手軽な増資の方法

上田

実はアーリーフェーズの資金調達、こういったデメリットあるよねというので、手軽な増資方法が必要ではないかということで、業界人が特にアメリカの方なのですが、集まって新しい手法が導き出されています。
ちなみにどんな手法だと思います?

アカネ

J-KISSと言われるものですか?

上田

そうですね それはどんな特徴があると思いますか?

アカネ

最初は社債として発行 できるのではなかったでした?

上田

はい。

アカネ

で、そこから途中で株に変換することで、初期の時間をかけずに増資することができる というものだと思います。

上田

そうですね、その通りです。
もうちょっと特徴はあるのですが、その他何か思いつくことありますか?

アカネ

もう事前にルールが 決まっているとかですか?

上田

そうですね。
もう業界でもこの契約書にしましょうって 決めているということです。
だから契約書の交渉が基本的には一切不要という。
この業界を挙げてこのテンプレで いきましょうと決めているので、契約書を見なくていいという メリットが結構あります。
ここの辺りをもうちょっと 歴史も含めて説明していくと、

NOTEとSAFEとKISS

上田

アメリカの方で 最初出てきたのがNOTEです。
今アカネさんが言ってくれた通り 社債です、貸付です。
一旦、例えば今回1,000万円貸付します。
後でちゃんと株価が付くタイミングになった時に、その貸付が株に変わります。
ただしちゃんと値段が付いた時より 先にお金を出しているわけですから、3割引の値段でお願いします、みたいな、これは後で説明しますが、キャップとディスカウントレート というのがあるのですが、ともかく、その後で出資した人よりも 安くだけど転換してください。
で、これは貸付なので、契約書らしきものが一切ないのですが、創業間もない会社にお金を貸し付けるって、これの良し悪しとか レオさん、どんな感じで受け止めます?

レオ

やっぱりデメリットとして、創業間もなくのところに貸したら もう、すぐ倒産する可能性もありますし、返済ができないというリスクはありますよね。

上田

そうですよね。
これまで伝統的な感覚における貸付というのは、基本返してもらわないといけないので、ベンチャー創業間もない会社に貸し付けるというのは、あり得ないというのが一般論だったわけですが、ベンチャー業界で広がったこのNOTEというのは、貸し付けだけど転換するつもり満々で、返してもらうつもりはさらさらないですよ、みたいな、そういうニュアンスが結構あります。
貸付なので株主の権利を色々設定しなくても、株主として強いと言えば強いです。
一方で倒産したらパーになるということは 何も変わらないので、もしもうまくいって 資金調達したら株に変わるし、もしもうまくいかなくて倒産したら、残余財産は当然貸し付けた分は もらえるけれども、それ以上はもらえないし、それで回収できない分は もう残念ながらおしまいです。
当たり前ですが 経営者の連帯保証とかは取らないので、すごくシンプルにできています。
これのデメリットは そんなにないのですが、全然これでいいのですが、債務超過になりがちです。
事業を立ち上げました。
3,000万円NOTEでお金を集めました。
デットのところに3,000万円つくので、これが転換されるまでは 債務超過になってしまいます。
債務超過がダメなのかというと、それも別に 大丈夫と言えば大丈夫なのですが、ちょっと見栄えが悪いというので、そこがちょっとデメリットかな というところがあります。
その後出てきたのが SAFEというもので、こっちは新株予約権です。
優先株が取得できるという権利を、500万円とか1,000万円で買うという そういうニュアンスです、ですので現金は手に入ります。
貸付ではないので 返済義務はありません。
バランスシートにもデットに載りません。
実際ラウンドが発生して、時価総額10億円で3億円調達するという、シリーズAのラウンドが発生した時に、じゃあ、その株価の8掛けでとか、優先株くださいって言って 優先株がもらえるっていう、そういうやり方です。
アメリカの方で SAFEとKISSというのがあって、これコンバーチブルエクイティというのですが、その2個のブランドが結構強いのですが、日本の方ではこのKISSが、日本の方でJ-KISSという形で、500 Startupsの日本企業さんで、今はCoral Capitalという会社にかわっていますが、日本の中で普及してくださったので、日本では日本J-KISSというものが、日本の法律に基づいて作られているので、日本のスタンダードになっている という形になっています。
ここまでで何かご質問あります?

レオ

NOTEは日本では普及していないのですか?

上田

そうですね、正直NOTEもJ-KISSも、最近、普及し始めた感じでして、アメリカの方だとNOTEが普及して、2、3年経ってコンバーチブルエクイティ というのが普及してきたので、NOTEが普及してきた時期もあるし、コンバーチブルエクイティ、つまりSAFEとかKISSが 普及していた時期もあるのですが、日本ではだいぶ遅れて 今から普及し始めてきているので、コンバーチブルNOTEはあまり見ないです。
J-KISS一本です。

レオ

なるほど。

アカネ

その貸付の場合、見栄えがあんまり良くはない というお話だったと思いますが、J-KISSの場合、BSには載ってこないのですか?
どういう風に載るのですか?

上田

載ってこないですね。
新株予約権を売ったので、エクイティのところに入ってきます。
新株予約権っていうものの、権利に値段が付くって イメージつきますか?

アカネ

はい。

上田

例えば、ある上場企業の 会社の株式が1,000円だとします。
今日の時価が。
1,000円で株が買える権利。
例えば10年間の間。
この権利はいくらで売れそうですか?

アカネ

以前もちょっと レクチャーあったと思いますが、1,200円とかですかね。

上田

1,200円ではないですね。
1,200円払うぐらいだったら 現物買いますよね。

アカネ

1,020円とかですか?

上田

1,000円以上するなら現物買いますよね。

アカネ

あっ、権利だけだったら 200円とかですかね。

上田

そうですね 権利だけだと200円とか、それもいろんな 10年なのかどうなのかとか、株価がボラティリティ高いのか どうかで変わってきますけれど、そういう形で優先株の取得の権利を売って、現金をゲットしてるという そういう感じになります。

アカネ

理解しました。

時価総額評価のルール

上田

はい、ではその評価。
その出した1,000万円が どれぐらいの株に変わるのかというのには、二つの制限をつける。
片一方だけのこともあれば 両方つけるケースもあるのですが、大体両方だとは思いますが、こういう制限を付けています。
今回1,000万円出したけれども、将来シリーズAの増資をした時につけた株価、例えば時価総額10億円で ファイナンスしましたという時に、例えば今回キャップ5億円 ディスカウント20%だったら、キャップで5億円 いくら高くても5億円の価値です。
もしくはディスカウント20%引きだから、10億円だったら20%引きで8億円です。
で、そっちの低い方が採用されるので、その場合時価総額5億円で 1,000万円出資したって後で決まります。
つまり出資した瞬間には、僕がいくらの株価で出資したか わかりません、みたいな。
経営陣も投資家も分からない状態です。
例えばシリーズA。
2年後にシリーズAで、例えば、時価総額6億円で2億円を調達しました。
そうなるとキャップ5億円より、6億円の20%引きの 4億8,000万円の方が低いので、4億8,000万円で株を取得することができます。
日本で多いのがキャップ、シリーズAが大体10億円前後なので、シリーズAにいけそうだな、それの半年前、1年前ぐらいだな というのだったら、キャップは7、8億円とか、もしくはディスカウント20%ぐらいです。
まだまだだ。というのだったら、キャップ上限5億円とか3億円。
ディスカウントもしかしたら 30%とか40%とかあるかもしれません。
もう、創業直後に増資をする。
もう、そういう時になると、もしかしたらキャップで時価総額 1億円とか2億円とかあるかもしれません。
そうなってくると、ディスカウント設定してもいいですが、どうせキャップで引っかかるので、ディスカウント設定してもしなくても どっちでも一緒という感じかなと思います。
この評価のルールとか この枠組みについてどう思いますか?

アカネ

ここのキャップとか ディスカウントの具体的な数字については、話し合って決めるということですよね?

上田

そうです そこだけ話し合いなんですね。

アカネ

でもすごくシンプルで分かりやすいので、立ち上げ初期はとてもいいなと思いますね。
あとシリーズAで、具体的に時価総額いくらの調達という風に、ここも設定するのですか?

上田

シリーズAになった瞬間、今事業立ち上げ中で、正直このままポシャるのか、シリーズAにたどり着くのか分かりません。
そういう時には シリーズAのことは何も考えてないです。
あくまで数字が見えてきて チームも整ってきて、時価総額10億円なのか12億円なのか みたいなのが見えてきた時に、初めてシリーズAの話が スタートするわけですが、ちょっと質問と回答が違います?

アカネ

ではそろそろ 話し合い始めましょうみたいな形で、どちらかが言い出して始まる みたいなイメージですか?

上田

J-KISSで投資した人は その話し合いに一切参加しないです。

アカネ

あ、そうなのですね もう決まってるからそうですね、確かに。
理解しました。

上田

ですので まだ評価しづらい事業に対して、頑張って数字を付けるという作業を お互いしなくていいという。
「一体いくらで俺出資したのかなぁ」 と思いながら出資してるという感じです。
で、この二つの数字は 2社で相談すると言っていますが、実際は起業家サイドが、いや、今フェーズ的にこれぐらいなので、ディスカウント40%引きで、今 J-KISS売ってますどうですか?みたいな感じ。
50%にならないの?とかって 言ってもいいですけれど、40%引きで買ってる 他のJ-KISSホルダーがいたら、値段が変わるのはややこしいので、あくまで値段は徐々に上がっていくので、いや、もう40%で売ってしまっているので、今回同じ金額で40%ですとか、それからもう半年経って フェーズが変わっているので、今20%引きで売ってます、みたいな、そんな感じでやるのが一般的です。
では、今までの話を総合して

J-KISSのメリット

上田

J-KISSのメリットについて、お話をしていきたいと思います、まずJ-KISSの一番のメリットは、書類がシンプルだということですよね。
テンプレートがあって、変えていいのはキャップと ディスカウントレートのみなのです。
それ以外は変更するなっていう 業界のルールなので、変更されると本当に困るのですよね。
これ結構弁護士さんとかが入って、弁護士さんの方に相談すると、いや、これ不利だからこうしましょう とかって色々出てくるし、

書類がシンプル

上田

それは投資家と経営者からしたら、利害が相反するので、どっちの弁護士さんだって 初めてパッと見たら、これこうした方がいいって いうのも分かるけれど、みんなで作り上げてきた条件なのだから、これは変更しちゃダメですよって いうものなので、弁護士に相談する経営者がダメっていう そういう感じなのですよね。
どうしても変更したいって言うのだったら、契約書の中を変更すると、本当に後でシリーズAの投資家が 契約書を見た時に、えっ?これテンプレと違うの? どこが違うの?みたいな話になって、また話がややこしくなってしまうので、どうしても変更するなら、もう別紙で上書きをするっていう形で 対応した方がいいと思います。
ただ、基本は変更しないっていう、そういうルールでいきましょう っていう感じですね。
日本はもうJ-KISSしかないので、J-KISSでいきましょうっていう感じです。

評価が不要・後回し

上田

二つ目が今もお話したとおり、評価が不要で後回しにできるということですね。
ということはどういうことかというと、もう事業のデューデリも あまりしないってことですね。
40%引きで買えるのか フェーズ的に色々聞いてもいいのだけれど、まだクライアントに ニーズにフィットしているけれど、バーニングニーズにフィットはしてないな、まぁ、40%引きそんなものだろうな、みたいな。
詳しくマーケット規模とか 競合とか聞いてもいいけれど、40%引きだから まあそんなものかな、みたいな。
じゃあいいよ出資しよう、みたいな話ですよ、で、正直あまり事業デューデリとかしないです。
で、ただキャップ3億円とか キャップ1億円という話であれば、評価が不要っていうか もう1億、3億で増資しているのと一緒なので、決まってないってわけではないです。
事実上決まってるも同然かな っていう感じですね。
ここまででご質問ありますか? 大丈夫ですかね?

アカネ

その3億円程度なら 決まっているも同然っていうところが、ちょっとあまり理解できなかったです。

上田

例えばディスカウントレートで 40%引きって言ったら、時価総額10億円の時だったら 6億円で買えるし、20億円の時だったら 12億で買えるっていう話なんですよ。
つまり将来のシリーズAの時の時価総額次第で、僕の株価が決定するので、いくらで増資したのかよくわからない っていうそういう感じです。
一方、1億円とか2億円とか 3億円のキャップであれば、5億円でシリーズAするとか考えづらいので、大体8億円、10億円、20億円 このあたりでシリーズAやるので、どうせキャップに引っかかるから、実際3億円で資金調達したんだよね っていうのとほぼ同意義ではあります。

アカネ

理解しました ありがとうございます。

上田

では、続いてですね

五月雨で対応可能

上田

メリットが 結構、五月雨で対応が可能なのですよね。
普通シリーズAと言ったら、1年半に1回ぐらいシリーズをやって、1年半とか2年分の資金を集めてくるっていう。
なぜかっていうと やっぱり契約書も大変だし、価格算定も大変だし、例えばリードキャピタルが デューデリジェンスするとかとなると、それの対応も大変だし、そんなことを3ヶ月ごとに やってられないですよね。
一方J-KISSみたいなこういった コンバーチブル系のものであれば、事業価値算定とか デューデリとかしないので、サクッと意思決定できるのですよね。
ですので、もう1ヶ月ごとにやってもいいぐらい。
ですので、ちょっと増資やりますわ、じゃあもう1千万なら出させてよ みたいな。
じゃあ、お願いします、みたいな。
じゃあ、もう振り込んでもらって、もう早速やりましょう みたいな感じでいけるのですよ。
結構リスクも高いし、いくら揃わないと会社として やばいよね、みたいなことも、あまりみんな気にしないですね。
いけそうだし 彼がやるならちょっと出資させてよ、40%分かった分かった みたいなノリで進む方が多いです。
日本だとそうはいかないのですが 海外の場合、そのアメリカの州とかにも よったりするのですけれど、株主総会が不要のケースもあったりすると さらに早いですよね。
日本だと株主総会が必要なので、とはいえ早いと言ってもやっぱり、じゃあ今回30%のJ-KISSのラウンドやります。
今3社目ですけれども、もうあと2社集めてからやろうかな、みたいな、そんなリズム感であるのは 日本だと間違いはないのですが、本来論で言えば、もう2社3社集まった瞬間に クロージングしちゃって、また次のラウンド、次のラウンドって、やってしまった方が いいのではないかなとは思いますね。
あまり日本でもそういうやり方 している人は少ないですけれど。

優先株が取得できる

上田

次のメリットですが、優先株が取得できるっていうのがメリットなのですね。
これは優先株投資に対するメリットではなくて、結構、優先株増資すると 株主総会も増えて面倒くさいから、まだシードラウンドなので、普通株で増資します みたいなケースも多いのですよ。
何となく分かります?
なんか優先株とかやると 設計とか面倒臭いでしょ、みたいな、だから普通株で増資します というのもあるのですが、普通株だとやっぱり弱いのですよね。
1,000万円、5%普通株で取得しますって、1,000万円投資する人もいますし、正直、ガイアックスも今回普通株で お願いしますって言ったら、普通株ですか分かりました じゃあ普通株でいいですよって言って、普通株で増資するのですけれど、まぁでも、やっぱり優先株の方が 投資家としてはありがたいですよね。
そういう意味では、そのシードラウンドにおいて 普通株で増資するより、もうなんなら、J-KISSでやってくださいよ、J-KISSだったらシリーズAの時に、優先株に変わるので 普通株ではなく。
1,000万円が 割引かれた優先株に変わるので、J-KISSでお願いします というところが多いので。
まぁ、そういう意味では、これは一つのメリットかなと思います。

調達後の運営が楽

上田

そしてそれに関することなのですが、これ結構重要なのですが、そのJ-KISSで資金を調達した後の 運営が楽なのですよね。
なんと言っても 優先株増資とかと違って、もっと言えば 普通株増資とも違って、株をまだゲットされてないのですよ 投資家の皆様は。
あくまで将来、株をゲットできるっていう、オプションを持っているだけの状態なので。
もしくは金を貸し付けているだけの状態。
コンバーチブルノートだったら 金を貸し付けているだけの状態なので、総会運営とかとも関係ないですし、会社としては今までの スピード感のまま会社が経営できる。
機関決定もそこまで増えない というのがメリットになっています。
以上このJ-KISSのお話させてもらいましたが、トータルでご質問とか 感想とかあればお願いします。

アカネ

J-KISSだと優先株を購入できるというのは、もう、そういうルールなのですか?

上田

そういうルールですね。
シリーズAの時に発行する。
もうちょっと言えば、ま、これも事前に大体定まってるのですけれど、1億円以上の調達を行なう 資金調達ラウンドに取得できる株式を、同様の条件のものを取得できる という風に決まっています。

アカネ

あとキャップとディスカウントを決める時の、決めるポイントとかは何かありますか?

上田

そうですね、ディスカウントは 少なくとも20%は必要だと思うのですね。
だってシリーズA当日を迎えるよりも もっと早く投資をするので。
20%が最低で、もっと事業ステージがアーリーだったら、50%ぐらいでも変ではないと思いますが、そこぐらいになってくると、もうキャップで上限決めている方が 手っ取り早いのではないのって気がしますね。

レオ

すいません J-KISSの書類の話で、ちょっとあまり イメージが湧かないのですけれど。
もう本当にキャップと ディスカウントレートのみのシンプルな感じで、しかもテンプレもある っていうものなのでしょうか?

上田

そうですね J-KISSと検索したら、Coral Capitalのホームページに辿り着いて、契約書雛形がダウンロードできます と書いてあって、ダウンロードすると、キャップとディスカウントレートの ところだけ空白になっていて、他、文章がブワッてあるって感じです。
で、たしか全部のドキュメントを足しても 5ページか6ページぐらいの、元々シンプルなのですけれども、そのシンプルなのでイジれるところが その2ヶ所しかないっていう風になっています。

レオ

なるほど。

上田

実際、会社をやっていて 実際、J-KISSで調達するなら、テンプレ通りとはいえ 一通り読んでみてもいいと思いますけれど。
違和感感じるところもあるかもしれませんが、それテンプレなので ふ〜んで終わらせた方がいいし、まぁ、正直シンプルにした結果、投資家の方もちょっと腹立たしい条項もあるし、起業家の方もちょっと 腹立たしい条項もあるのですけれども、そんな最適解を見つけることより、シンプルにしていることを最優先しているので、これはこれで良い考え方なのではないかな という気がしますね。
ちなみに僕もちょっと、アメリカでの資金調達に 同行したことがあるのですが、アーリーフェーズでの。
本当にカフェで 投資家の方と会って事業プレゼンして、本当何て言うのですかね、日本と違ってアメリカの人って、名刺出すか出さないかも、話が面白ければ初めて名刺出す みたいなそんな感じで。
本当に15分、長くても30分ぐらいで 投資するかどうか決めて、じゃあ今回1,000万円出すよ、みたいな。
30%で分かった分かった、みたいな。
っていう本当 そんなスピーディな感じで決まっているので、そういう現場を実際見た感じからすると、日本だとJ-KISSでも結構みんな、すごい畏まって対応してるなっていう感じで、アメリカの方が起業家が強くて、日本の方が投資家の方が若干強いっていう、傾向もあるからかもしれませんけれど、そういう本当、気軽なものなので、日本でもそういう風に 普及していけばいいなと思います。
はい、では今日は以上で終わりたいと思います。
ありがとうございました。

アカネ

ありがとうございました。

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