優先株式増資の際に、企業価値が…

会計上の数字である「簿価」と、現在の実態を表す「時価」の違いをレクチャーします。企業買収や合併の時などは、簿価の純資産だけではなく時価総額を見る必要がある、ということについて説明します。
目次
はい、では経営カレッジを 始めていきたいと思います。
ガイアックス上田です。
ガイアックス新卒1年目のアカネです。
ガイアックスでインターンをしている 大学3年生のレオです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
はい、本日は時価と簿価というところについて 掘り下げていきたいと思います。
そしてそれのバランスシート上の 資本の部辺りのところも、話していきたいと思います。
簿価と時価とは?
では、まず早速なんですけれども、その簿価と時価。
これはなぜ違いが出てくると思いますか?
一つは減価償却とか 後は土地の価格とか、そういったものが入るかな と思いました。
そうですね。 簿価っていうのは何ですか?
簿記上の価格ですかね。
そうですね。 それはどのように作られますか?
これまで勉強してきたその決算書は 基本的には簿価なんですかね?
そうですね。基本的には簿価ですね。
だとすると会計上辻褄が合うように 作られるものかなと思います。
その通りですね。じゃあ例えば 車のバランスシート上の簿価。
これはどこから算出されると思います?
その5年とか10年とかで減価償却した分の 1年分として立つと思います。
そうですね。基本は当たり前で 多分言いづらいと思いますが、トランザクションが起こった。
例えば、購入したとかっていう金額が、その金額の数字がバランスシート上に 記載されるわけなんですよね。
で、PLはフローなので、例えば、その瞬間100円で アイスクリーム食べましたって言ったら、もう、その瞬間消えてなくなるので、その100円はおそらく 正しいんですけれども、じゃあ、例えば バイク100万円で買いました、と。
ところがもう生産中止になって プレミアム価格になって、100万円のバイクが 200万円になりました、と。
ただ、バランスシート上は 200万になったとかっていう事は反映せず、100万円って 載せちゃうわけなんですよね。
そしてそれに減価償却。
これもマーケットの相場を見ながら 変えていくわけではなく、例えば、法律で決まったこれ5年ぐらいかな っていう物は5年で償却していくから、時価と連動するわけがない。
時々、時価に合わせにいく作業 があるんですが、それは例えば何だと思います?
それが前回あった 棚卸しですか?
そうですね。 棚卸しとかは一つですね。
ただ、棚卸しも、じゃあ例えば、我社にある在庫を全部 ネットオークションで価格を調べて、それに切り替えるなんてことはせずに、おそらくもっと単純な手法で、もう3年経った物は価値0かなとか、なんか、結構、雑な 時価に合わせにいく方法ではあります。
他にも例えば株とか 土地に関しては、時価が半分以下である ということがわかれば、そこまで引き下げないといけません。
ただ、株とかは 日々、取引がなされているんですけれど、それ以外のものは 日々、取引がされてないので、結局、時価に合わせる なんて事はできない。
現実としてできないですよね。
どうしてもやりたければ、誰かに売ってすぐ買い戻す っていうアクションをすれば、それを採用することが できるんですけれども、
BS上のどこに簿価と時価の差が出てくるか?
では、そのバランスシート上の どこに簿価と時価の差が出てきますか?
これはちょっと具体的に見て イメージして欲しいんですけれども、
バランスシートで確認する
例えば 資産が現金800と売掛100と車100。
負債が借入600。
純資産が総資産1000から負債600を差し引いて 純資産が400です、と。
例えば、これで時価と簿価、ま、これ記載しているのは簿価なんですが、どんな差が出てきそうな感じがします?
減価償却分 資産に差が出るのかなと思います。
そうですね。
もうちょっと具体的に言うと?
資産だと思いますけど、すみません ちょっと明確な根拠が述べれないです。
例えば車の100っていうのは どういう意味ですかね、これ。
減価償却分だと思ってたんですけれど
例えば100で買ってきたら 今日100で載ってるわけですよね。
もしくは昔200で買って5年償却で 2年半経ったところかもしれません。
その200の車の価値が 5年で0になるように、徐々に減価償却されていくので。
じゃあ、その100で買った車、もしくは200で買って2年半経った車が、100として簿価が記載されているんですが 実際これいくらだと思います?
実際は200なんですかね?
実際この車いくらのお金になると思います?
そうですね、実際は価値としては どれぐらいかわからないんですけれど、売ろうとしたらもっと安くなる可能性 とかもあるんじゃないですかね。
そうですね。ま、売ろうと してみないとわからないですよね。
200で買って2年半経って 100に落としているけれど、200で買ったもの2年半で 100に落ちてないかもしれないし、はたまた、もっと落ちているかもしれないし、もしくは、これプレミアムカーとなって、実際200で買ったものが実際マーケットでは 400で取引されているかもしれないし。
ただ、あくまでバランスシート上は 簿価で載っていて実際の時価は別にありますよ。
つまり資産Aの中身は、その金額通りかどうかは怪しいですよ、と。
実際、現金はどうですか?
現金は評価も何もないので 簿価も時価も一緒だと思います。
ま、そうですよね。 ま、普通に考えてそうだと思います。
売掛はどうですか?
売掛金も短期で取り扱う物なので 差はないと思います。
そうですね。ま、普通 1〜2ヶ月で回転するので差はないですね。
万が一、これ1年間回収できないんです。
倒産しそうなあの会社から 物売った時に出来た売掛金なんです。
ってなると、これちょっともう 回収できないんだったら減損で0でしょ、みたいな会話になるんですが、実際マーケットに誰かに 買ってよって言ったところで、ま、そんなマーケットないんですが、じゃあ、10円でよければ買うよ、みたいな、下手したら 100儲かるかもしれないし、みたいな、とか、その会社自身がもしかしたら 10とか20で即金なら払えるんで、これでチャラにしてもらえるんだったら 現金払います、みたいな、そんな話があるかもしれないけれど、ま、そんなのは非常にレアなので、時価も簿価も一致してるでしょうね、と。
借入側もあんまり変わらないんですね。 時価も簿価も。
実際600借りていますって言ったら 600返さないといけないので。
ま、他にも時価と簿価にズレがある 資産とか負債というのは、なくはないんですが 主に資産の品物とか土地とか株とか、そう言った物が簿価と時価で ズレが発生しがちです、と言う感じです。
これじゃあ、仮に200万で買った車が 100万まで減価償却したけれども、実際プレミアムカーで400です、と。
そうなると、このバランスシート、車が400だとしたら 変なところありますよね?
要はバランスしなくなりますよね。
その時はどれをどのように見たら バランスすると思いますか?
純資産をプラス300するですかね?
そうですね。例えば本当にこの3つの資産しか 持っていない会社の代表だとして、パッと見た時 いやー車100で簿価で書いているけれどね、実際400あるしな、みたいな。
俺の会社の純資産 事実上700あるよなー、みたいな。
そういうような肌感を持っても 変じゃないです。
あと、そういう意味では 資産が増えれば増えるほど、純資産が膨らむわけなんですが、実際この会社を売り買いする時も、なんと現金800あるんですね。 売掛100あるんですね。
これ正常債権ですね。
あー車、これ400万の価値 あるじゃないですか、と。
借入600ですか、と。
じゃあ、この会社買収させてもらいますけれど、まぁ、目線としては まずは700ぐらいからの調整ですかね。
みたいな話になるわけですよね。
そういう意味では この会社の時価総額と言うか、この会社の全株式の売買する時も、700って言うのが 妥当な金額になってくるわけです。
上場しているわけじゃないので この例だと。
ちなみに上場しているとまさに そういった取引が日々行われているので、また資産のリストも1000とか 実際の項目として1000とか1万あるわけなので、時価は追いかけきれないし、結果として計算上の資産から 計算上の負債、時価の負債を差っ引いた 計算上の純資産を採用して、株価が決まっているわけでもなく、PERで、 決まってるかもしれないし、PBRで 決まってるかもしれないけれど、仮にPBRで 決まっているとしても誰も追いかけきれないので、適当に算出するしかない と言うわけになります。
もちろんこの大きな会社で赤坂の駅前の あの500坪を所有しているのか、みたいな。
まぁ、500って言ったって そんな大きくないかもしれないですけれど。
みたいなのでそれが土地として 資産にほとんど記載されていない、これはPBRで見ても 実際1倍って激安じゃないか、みたいな、そういうことはあるんですが、そのような形になっています、と。
のれん代とは?
じゃあ続いて のれん代というのは聞いた事あります?
あります。
はい、聞いた事はあるんですけれど あんまり意味がよくわかってないです。
これはどんな時に 出てくる単語だと思いますか?
買収の時ですかね。
はい、そうですね。ちなみに 買収の時にどんな感じで出てきますか?
買収の時に その企業の簿価よりも、さらに高く評価して買った時の差額が のれんだと思っています。
そうですね。 はい、まさにその通りです。
買収・合併手続きについて
買収して合併とかする中で、今アカネさんが言ってくれたような事が 発生します。
これが単に株を買収して 100%子会社のままですって言ったら、単体決算では のれんという単語は出てこなくて、単純に高い株が バランスシートに並ぶって言う。
ただ、これが連結決算として バランスシートを作ったり、はたまた合併しますとなると、のれんという物が出てくるんですね。
もうちょっと詳しく説明しますけれども、
買収・合併手続きの詳細
例えば 焼き芋屋をやっている会社があります、と。
車の100の資産があって 年間利益が100です、と。
じゃ、この会社は いくらで買収できそうですか?予算。
1100ぐらいですかね。
なぜ1100ですか?
一応純資産として100車持っていて 年間利益100で10年ぐらい見込んで1100。
そうですね 感覚としてはズレはないです。
100の利益の10年分で1000で買う。 これは変な話じゃないです。
この車100の資産は焼き芋事業に 使ってます?使ってないです?
どっちですか?
使ってますね。
そうなると 買収金額はいくらだと思います?
1000ですか?
その通りです。 どちらかですね。
つまり、ニワトリの値段いくらですかって時に ニワトリをグラム数で評価するか、はたまたニワトリが卵を産む その卵の量で評価するかは選択して、どっちか高い方で売れるだろう という考え方です。
ただニワトリが首に金の首輪をしていたら、要は余剰資産であれば それは算出したものに足し込めるんですけれども、ま、今回のケースは足し込めないですね。
仮に未公開企業ということなので 5倍で買収しました、と。
上場企業だと 15倍とか20倍付くのですけれども、まぁ、5倍で買収しました、と。
じゃあ、500で買収します。 大丈夫ですか?
車100しか持っていない。 こういうバランスシート。
買収・合併時のBSの推移
資産が車100。 そしてエクイティが資本金100。
単にこれだけの会社を 500で買収します、と。
そうなった時さっきの見本であげた、
資産の方に現金が800あって、借金が600あって 純資産が400ある。
売掛100、車100の資産合計1000の会社が 買収するとなると、ここから現金800から 500が消えてなくなるわけですね。
で、車が100、オンされるわけですね。
ま、結果的には 現金が残り300となって、売掛100となって車が200。 ここまでは間違いないです、と。
で、借り入れが600です、と。
で、普通に差し引きしたら これで純資産が0になっちゃうんですが、まぁ、500の価値のある事業を 買ってきて合併したら、純資産が400消えてなくなると おかしな話なので、買ってきた事業の超過収益力を一旦400として 見込んだと。買い手の私たちとしては。
400の価値があると見込んで買ったので、この400部分を足し込んで それをのれん代と表現しましょう。
と言うのが のれんというシステムです。
じゃあ、会社の中にのれんって言うのが どこに存在するかって、指させるかって言うと 指させないんですよね。
単に差分を記載しているだけで。
では、こののれん。 これはどういう風に処理されると思います?
のれん代の処理方法
処理されるんですか? って聞いた時点で、処理するのかなと 思わせてしまいますけれども。
すみません、処理って 具体的にどういうことですか?
例えば、バランスシートに400って のれんが載っているわけですよね。
このバランスシートに載っている 400と言うのれん代は、このままずっと残ると思います?
残らないと思います。
どうなると思います? どうしたらいいと思います?
5年先の利益を予想して 作ったものなので、毎年実態とすり合わせる とかですかね。
そうですね、実態とすり合わせる と言う考え方はありますね。
例えば、その会社が 毎年100利益出しているけれど、評判になって毎年200になりました。
そうするとのれん代は どうしたらいいと思います?
増やしますか?
増やしたいところですが 増やすのは許されてないんですね。
さっきの車と一緒で 200で買ってきた車を2年半償却して100になって、いや、でもその車 400で売れますって言って、バランスシート上400に増やす事は 許されなくてですね。
どちらかと言うと ディフェンシブなので、マーケット価格が見えた時に 下回っていたら、減損させられるというアクションが 許されると言うか、結構あり得るんですが、増額は許されないっていう そういうルールがあります。
話戻って例えば 5年の利益で回収できるかな、まぁ、案に言うと5年くらいで このビジネス廃れるかもしれないな、というような事業計画を描いて 買収したとしたら5年で償却します。
この400万は5年で償却していって 毎年PLに5で割った80が費用として計上され、今年400ののれんなんですけれど 来年末には320ののれんになって、その後240ののれんになって と言う風に減ってきます。
これが20年ビジネスとして儲かりますよ と言うのであれば20年で償却します。
一般的には20年ぐらいかな という気はしますけれど、ま、これ短期に償却していきましょう となると5年で償却します。
ちなみに欧米もしくは国際会計基準では のれん代は減価償却しません。
400で買って、って言ったら 400で続きます。
それは変な話ではなくて、例えば、マクドナルドさんが モスバーガーを買いました、と。
で、超過収益力があって簿価以上の価格で モスバーガーを買収しました、と。
別に5年とか20年で モスバーガーはなくなるわけじゃないので、まぁ、それののれんを償却する必要あるんですか ってそういう話ですね。
ただ、そのビジネスを撤退するとか、そのビジネスから利益が 出なくなるってなった時に、一括して減損したり 適切な価格まで減損する、というオペレーションが取られる 形になります。
簿価と時価
では、その簿価と時価っていうのは、どんなところに表れてくるかって言うと、BS上の資産上の物に これが簿価だったり、これが時価だったり、っていう物が出てきたりします。
他にもバランスシート上の資産の部に、物は存在しないんだけれど のれん代というものが、買収した時に 載ってくる可能性があります。
そして3つ目はそういった資産の部が 膨れ上がったり減ったりすると言う事は、純資産自体の価値が 簿価と時価でズレが発生している。
もしくは、我社の株式が日々取引されていて、それこそまさに純資産が 時価として日々変わったりします、と。
つまり経理の世界から入った時のバランスシート って言うのはすごく数字が固まっていて、日々、精緻にその数値が 減価償却とかで変わっていくんですが、実際、経営目線でいけば もしくは財務の目線でいけば、簿価として何が記載されてるって 実はあんまり影響なくて、実際時価いくらなんだろうかね っていうのをイメージしながら、想像しなければならないので、そのバランスシート上が 本当にバランスしてるかどうかということより、どれぐらいのボリューム感なのかって事を イメージする方が重要なんですね。
時価総額が高額の場合
では、例えば先ほどの会社が、時価総額が1400です、と。
例えば利益が200とか300出ています。
時価総額が1400です。
こういった時に先ほどの会社のバランスシートが どんなイメージになるかと言うと、
高額の場合のバランスシート
これまで 現金300、売掛100、車200、のれん400、そして借入600、純資産400で総資産1000 のイメージなんですけれども、この会社自体が1400で売れるとなると、実態はこういう図が適切なのではなく、
ま、一旦省略して、1600、400とわかりやすくしていますが、
これが実際には 資産が1000、負債が600、純資産が400、それ以外に純資産の所に1000 実態としてあるよね、っていう雰囲気になるわけです。
この図を見てアカネさんどう思います?
今ちょっとこのプラス1000が どこから来たのか、ついていけなかったので もう1度いいですか。
はい、この会社簿記上では正しく記載すると 1000、総資産が1000なんですけれど、実態としてこの会社を 年間200とか300とか利益出ているから、買収したいっていう会社が 日々訪れています、と。
いくらぐらいで買いますか?
って聞いたら 1400ぐらいで買いますよ、と。
だって200とか300利益出てるますもん。
って日々口を揃えて言っています、と。
って事は時価総額1400なわけですよ。
はたまたこの会社が上場していて 日々株価がついています、と。
株価かける株数をすると1400でした。
そういう状態でもいいです。
そうすると実態としては こんな感じなわけですよ。
あ、なるほどそうですね。
例えば、この会社を買収しました、誰かが。
そうすると買収したら 現金300、売掛100、車200、で、残りさっき買ってきた焼き芋屋さんの のれん代400に加えて、この会社1400で買ってきてると、簿価上の資産と同額じゃないので、その差分であるのれん代1000が オンされてくるわけですよね。
ま、もしくはその時に資産を全部 時価に洗い直すかもしれないですけれど、ま、どちらにせよひとつひとつの資産を 時価で洗い直したところで、利益が200とか300出ているから、創出される1400という時価総額には 追いつかないわけで、その追いつかないところはのれん代として 記載されるというわけです。
これは資産Aの所はのれんを足して 2000にはならないですか?
そうですね、良い視点ですね。
まずこの上半分は 正式なバランスシートなんですね。
経理部が出してくる 正式なバランスシートです、と。
ただ、経営者もしくは財務担当者としては、いやいや、我社の純資産の部って言うのは、総株式数の価値って言うのは1400あるよね。
っていうイメージを表した物です、と。
そう考えると 代表とか財務部の頭からすると、アカネさんが言った通りのれん代、我社にはのれん相当分 もしくはブランド価値って言うか、超過収益力と言うかそういったものが 1000ぐらいの価値であるよね、みたいな頭になっていても 変ではないです。
どちらにせよ、そういった超過収益分を表すような 自己創設をしたのれん代の1000相当の物とか、実際の時価総額と純資産の 差である1000とかは、正式なバランスシートには 記載されないので、あくまで頭の中のイメージとしては、両方にそういった物を並べるのが 適切な図を表しているという事です。
自己創出のれんとは?
この自己創設のれんというのは、そういったような考え方で出てくる バランスシート上ののれんの事なんですが、結論としては 経理のルールでは認められていません。
どうしても作りたかったら、全事業を売却して 同額で買い戻すことによって、のれん代を創設できることは できると思うんですが、経理のルールとしては そういった物はできません。
簿価での純資産の考え方を見直す
では ここからがまた重要なんですが、これまでずっと経理の会計とか基礎とかで いろいろやってきましたけれども、バランスシート上の純資産が 一体どうなるかって言うのを、簿価でだいたい見てきたわけなんですよ。
こう言ったような考え方をある程度 やっぱ捨てていかなければなりません。
会社の倒産リスク
例えば、会社の倒産リスク、バランスシート上を見て どういう風に判断しましたか?
じゃあ、例えばレオさん。
そうですね どれだけ負債を抱えているか、注視する。
そうですね。
じゃあ、たくさん負債を抱えていると ダメなんでしたっけ?倒産します?必ず。
その分資産が多ければ。
そうですね。
はい。
負債よりも資産が多ければ 大丈夫ですよね。
あ、すみません。 資産と負債のバランスで見ると思います。
そうですね。資産の方がじゃあ3倍です。
この会社は倒産しますか?
例えばレオさんが 友達から1000借りています。いろいろ。
一方、レオさんが持ってる物が 3000あります。いろいろと。
レオさんは資金繰りに窮することは あり得ると思いますか?
そうですね、大丈夫だと思います。
そうですね 回転スピードとか1000の請求タイミングと、3000円の固定資産なのか流動資産なのか っていう観点はあるけれども、一般的には大丈夫ですよね。
じゃあ1000借りています。
一方で資産が1000ぐらいしかありません。 これは?
まずいと思います。
ちょっと危険度が 高いかもしれないですよね。
その時例えば 1000の借入で3000の資産を持っていたら、自己資本はいくらあると思います?
2000だと思います。
そうですね。じゃあ1000借りていて 1000持っていたらいくらですか?
0ですね。
そうですね。じゃあ ここからが今日の話なんですが、ところがこの会社は 年間収益力が300あります、と。
この会社自体は 例えば5倍の1500で売れます、と。
そうなった時1000の借入があって 1000の負債があったとしても、実際株の価値が1500あるってことは、なかなか先ほどの倒産しづらい会社、自己創設のれんも1500足し込んで 2500の資産があるとも言えるので、なかなか倒産しづらい会社になるんですね。
自己資本比率と言う単語があります。
これは総資産における負債と 自己資本の比率をさしているんですが、例えば、総資産1000があって 600、400だったら40%ですね。
ってそういう話なんですけれど。
これが時価総額で考えたら、いや実は400どころじゃなくて1400ありますよ っていう話になったりするんですね。
これまで簿価で見て、この会社って いや、ちょっと倒産リスク高いんじゃないですか、みたいな雰囲気があっても、実際時価で見ると全然大丈夫ですね みたいなことがあって、例えば、急成長しているベンチャー企業。 めちゃくちゃ費用を使っています。
テレビCMとかやって めちゃくちゃ費用を使っています、と。
ただ、そのテレビCM代も、将来的な顧客から入ってくる売上 LTVが超えているので、バンバン費用を使っているけれど、バンバン収益の見込みがあります、と。
実際、ラウンドを重ねていて増資をするために、時価総額が10億だとか 20億だとか30億だってついています。
でも会社の中に資産はありません。
時価総額10億で1億調達したけれど、半年後には半分使っちゃって 残り5000万しかありません。
じゃ、そんな時に2億を借りてきました。
そしてこの2億もまた テレビCMで使っちゃいました。
負債が2億で現金5000万です。
さあこの会社どうでしょうか って言うそういう話です。
アカネさんどうですか?
とは言え時価総額が10億なのであれば 問題ないんじゃないですかね。
そうですね。
会計的に見ると5000万の現金に対して 2億の負債があって、1億5000の債務超過状態でも あるんですけれども、財務担当者とか その代表の経営陣の感覚からしたら、いやいや、俺ら別に時価総額10億ついているから 2〜3億なんてすぐにでも調達できるし、だったら金利の安い借入していても いいじゃん、みたいな。
ま、そんな感じになるわけですよね。
じゃあこれ伝統的な銀行が貸付ができるか どうかって言ったらなかなか難しくて、過去のラウンドがいくらで評価されて、次のラウンドがいくらで評価されるなんて 銀行の得意とするジャンルじゃないですし、やっぱりバランスシート審査したら、この会社債務超過だから貸せないですね ってなっちゃうわけですね。
で、結果的にガイアックスとかは、そういった会社にもガンガン貸しています。
ま、ともすると年間毎年 数億単位で貸しましょうか?みたいな。
総額ですけれどね。
提案したり実際に貸したりしていますね。
で、全くガイアックスから見ると リスクを感じない。
これ、時価総額20億の会社で 例えば1億円貸付ける。
もちろんこれ 返せなくなったらどうなるか。
返せなくなったら倒産手続きに入って その会社が我が社のものになる。
わけないよなぁ、みたいな。
20億の会社がたかだか1億貸付けただけで 我が社のものになるわけなくて、倒産しそうになる前に調達して1億 我が社に返してくるよな、みたいな。
ま、もちろん返さなくても結構です、と。 その会社丸々頂きますから、みたいな。
ま、でもそんな事 ピクリとも期待しておりません。
みたいな感じでバンバン貸付けられる事が 可能なわけです。
ガイアックスが貸し付けるのは 当社が出資をしていて、経営サポートが必要 っていうような観点で、貸し付けることがあるだけで、別に事業として やっているわけでもないし、別に赤の他人の会社にわざわざ貸して 薄い金利をもらったってしょうがないし、それをやるには免許が必要になってくるので そんな事はしていないですけれども、実際バランスシートを見ても リスクはわからないと言う事ですね。
で、海外の方ではそういったものを Venture Debtと言って、一定のマーケットになっています。
シリコンバレーバンクかな?という所が 凄く積極的にそのジャンルを開拓されています。
時価を考慮したWACC
他にもですね、これまでWACC(ワック)っていうのを やってきたと思うんですが、これ何か覚えてます?
負債と借入のそれぞれの期待値の 平均じゃないですけれど
加重平均コストですか。
加重平均
そうですね、はい。 負債と資本の加重平均コストですね。
この時も借入比率が高まってくると 金利が上がりますっていう話をしていたんですが、ま、それも簿価で見ると 金利が上がるんですけれど、実際我社は債務超過の会社に 金貸付ける時でも、イケてるベンチャー企業だったら、金利、別に1%とか2%で 貸しちゃったりするわけなんですよね。
そうなってくるとWACC(ワック)の計算も 簿価で考えたら全然ズレてくるって言うか、時価ベースのバランスシートで考えないと いけないんですよっていうそういう話です。
時価の観点でのROEの位置付けは?
他にも ROEって言うのがありますが、これはどういう指標でしたっけ?
自己資本に対してどれだけの利益が 生み出されたかを示す指標です。
そうですね。これも投資家から重要なイメージ 持ってると思うんですが、時価総額10億円って言われて、えー、こんな会社が時価総額10億円なの。
まぁ、でも伸びるかもしれないし ま、可能性あるから10億円。
わかったわかった。 じゃあそれで1億出資するわ。
って言って1割株を持ちました、と。
自己資本が元々1000万の会社だったので 1億1000万になりました、と。
じゃあ、1億1000万に対して 1億出してきた利益。
ROEで見るとめちゃくちゃ高いわけですよ。 ほぼ100%みたいな。
でも、投資家からすると、いやー、 10億って言ってお金出して、10億って言って株式取得しているから、1億のリターンが出ても それ普通だよね、みたいな。
そういう意味ではROEに関しては PERの逆数に近いって言えば近いんですけれど、ま、ちょっと覚えているか どうかわかりませんが、そっちの方が現実を表しているのかな という気はしますね。
いろいろお話ししましたけれど、これまで、会計とかいろいろ見てきた中で、すごく簿価ベースのバランスシートをベースに、これがこうだとか、あれはああだとかって ディスカッションしてきたんですが、実際はそれ全部間違っていて、頭の中では時価ベースで 物事を考えていかないと現実に即してないし、簿価ベースで取引をしているけれど、本当は取引できるのを 時価ベースで考えると取引できるのならば、それは積極果敢に取引した方が美味しいですよ って言うそういう話になるわけなんです。
はたまた簿価ベースで信じたところで、実際時価ベースで信じないと、信じられる根拠を用意しないと、まったく現実の場では 活用できませんよって言う。
じゃそうなると簿価。
バランスシート上の簿価っていうのはどういう ルールで記載されているのかな、みたいな。
あーなるほど取得金額を そのまま横を横に引っ張っているか、はたまた それ減価償却するしかないんだ、みたいな。
減損はあるけれど 増やす事はありえないんだ、みたいな。
あーそういうルールだから きっとこう言う差が出てくるんじゃないか、っていう風な考え方になることが 必要になってきます。
では、どうでしょうか? 何かご質問ありますか?
のれんの算出方法って現状の利益を 何年か分に掛け合わせる以外にも、例えば既存顧客の人数とか なんかそういったものも入るんですかね。
のれんはその買収の時ですか? それとも自己創設する頭の中ののれんですか?
買収の時ですね。
買収の時は差額でしか算出されないです。
ただ、買収金額自体に織り込まれていると 思うんですね、そういう要素が。
ふんふん、あ、そうですね。
つまり100の車持っている会社を 500で買収してきました。
その500っていうのは、あくまでディスカッションして交渉した結果 500になっているんだけど、毎年利益100出るから 500になっているかもしれないし、ここ2〜3年は利益出ないけれど 顧客ベースがすごく増えていて、これ将来的には利益出るかもしれないな、うーん、わかった、500で買収するわって言って 500が決められているかもしれないので、500という価値自体に 今アカネさんが言ってくれたような、定性的な指標が織り込まれていると言っても 過言ではないと思います。
それは自己創設のれんの時は 何か変わるんですか?
自己創設のれんって言うのは本当に なんちゃって単語で、どこにも存在しない、本当、幽霊と言う単語に 近い単語なんですね。
なので、これもどう算出するかは 自由な感じなんですよ。
ただ一つは、 じゃあ我が社売った時はいくらなの?とか、我が社がいくらで買うよ っていう人が来てるのとか、我が社で今日時点の時価総額はいくらよ、から機械的に算出できると言えば 機械的に算出できます。
それをもうちょっと管理会計上 管理したいって言うんだったら、もう管理会計なんて 会計ルール無視していいので、ま、適当に作っちゃって いいかもしれないですね。
で、よく雑誌とかで ブランドランキングとかって言って、ブランドランキング マクドナルド、アップルが何位、とかって色々あったりするんですけれど、それってどうやって ブランド算出しているんだろうって見た時に、もちろん消費者のイメージランキングで 作っている時もあれば、単純に時価総額と簿価の差額、つまり自己創設のれんと言うでしょうか、そういったものを 採用しているケースもあります。
わかりました。 ありがとうございます。
はい、他はどうですか?
今日はちょっとイメージしづらかった と思いますが何か感想ありますか?
そうですね。ちょっとのれんの償却とかが あまりイメージがつかなくて。
そうですね。 イメージしづらいですよね。
のれんはもう簿価上には 記載されないんですよね?
いえ、買収してきた時には 記載されます。
800の現金で500払って 会社買ってきました、と。
で、合併しました、と。
でもその会社には100の車しかありません って言ったら500現金減っているので、新我が社のバランスシートには 100の車は載るけれど、400載せようがないですね。
下手すると現金が400消えてなくなっただけ になっちゃうわけですよ。
そうすると自己資本が 400減っちゃうわけで、400の損失が出たのか って言う話になっちゃうので。
そういう意味ではのれん代400って言って 計上しちゃうわけなんですよ。
うん、なるほど。
で、車の減価償却と違って、400ののれん代がもうスタート段階から、この空想上のなんか物体で、それを永久に計上し続けていいのか って言うので、日本のルールとしては 5年から20年で0にしていきましょう。
毎年費用として一部ずつ削っていきましょう って、そういうような考え方です。
うん。
そののれんで想定しているよりも 利益が出た時に、連結決算上ではのれんの その1年の減額分よりも利益の方が出てしまって、バランスが取れなくなるのかな って直感的に思ったんですけれど、それはないですか?
いえいえ、まさにその通りで、買収した目線からしたら、やっぱり100の利益出るものを 100で買ってこないですよね。ノリで言うと。
倒産するリスクもあるので。
いや、俺はこれ経営改善する事によって 200利益出るなと思うから、100で買ってくるわけであって、で、その目線はどんなのかって言ったら、例えば400ののれんの会社を買収してきて 5年で償却する。
毎年80の費用をくらうって言う中で、やっぱりその80を超える利益を出せると 思っているから買収してくる。
で、償却が終わったらもっとたくさんの利益が 出てくるってそういうイメージでやっています。
そこら辺もいくつかテクニックと言うか ちょっと目線があってですね。
日本企業は5年とか20年で償却しないと いけないから買収金額が一定、高くできないんですよ。
高く買ってきたら 毎年減価償却しないといけないから。
それのダメージを上回る利益を 出さないといけないから。
ところが欧米企業は買収してきても そののれん代を減価償却しないんですね。
だから100利益出たら 100丸々食べられちゃうわけですよ。
だからやっぱりそこは ちょっと会計基準が違うので、やっぱり違うなと思います。
で、もう一個は これも凄いテクニカルなんですけれど、買収してきたその年に、これはビジネスがどうなるかも わかりませんから、ディフェンシブに全部減損します って言う会社もあったんですよ、昔。
だから20億の買収してきました。
その年に18億ののれん代の特別損失、もうディフェンシブに 特別損失しますよって言って。
その代わり来年から めっちゃ利益出ます、みたいな。
そういうような手法が 流行ったんですけれど、2005年ぐらいかな、みんながあまりにもやり過ぎたので、特に楽天さんとか かなりやっていたので、ま、それよくないよねて言う事で、即時全額特損は禁止ってなりました。
ただ、それでも2〜3年経営していたけれども 計画と違いますって言ったら、じゃあ全額減損ですかね みたいな事はありますし、例えばそれこそ コロナで赤字出している時に、いや、のれん代がちょっとずつ毎年減らして ちょっとずつ減価償却くらったけれど、いや、コロナで ライフスタイルが変わりましたから、今年も実際赤ですし、全部減損します、って言って全部特損だーって言って 僕の責任じゃありません。
コロナの責任ですって言って、来年以降は、ま、ちゃっかり、ライフスタイルが変わったとは言え ちゃっかり利益が出てきて、いやいやこの経常利益は 私の業績です、みたいな。
そんなようなスタイルも なくはないと思います。
別に悪い事をしている訳ではないし 今後利益が出るって説明すればいいけれども、株主からしたらそれで1年間の 利益があっと減らされるのが、おかしいん じゃないかって話ですよね。
そうですね。 まぁ、そこも本当難しいですよね。
株主も結局、経常利益 長期株主からしたら長期、長期の株のキャピタルゲインが 取れればいいので、表面上経常利益が激上がりすれば、そのメリットも享受できちゃうので 非常に難しいですね。
まぁ、今日言いたかったのは、のれん代という枠組みが どういう風に生成されるのかと言う事が1点と、もう1点は、常にそのバランスシートを簿価でなく時価で 考えて意思決定しないといけないですよ。
っていうことをちょっと お話しさせてもらったかなと思います。
はい、今日はこれで終わりたいと思います。 どうもありがとうございました
ありがうございました。
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