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企業買収の際に、どのように買収対象の企業の価値を考えればいいかについての指標、EV/EBITDAについてレクチャーします。ただ公式を覚えるのではなく、どの様なロジックになっているのかを学びましょう。

はい、では本日も経営カレッジを やっていきたいと思います。
ガイアックスの上田です。

アカネ

ガイアックス新卒1年目のアカネです。

レオ

ガイアックスでインターンをしている 大学3年生のレオです。
よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

アカネ

よろしくお願いします。

2人共会計とか財務とかやってきて もうだいぶ使いこなせる感は出てきましたかね?

アカネ

そうですね、理解は とても分かりやすくてできているんですけれど、実際の現場で使わないと分からない だろうなっていう事が多いと感じてます。

まぁ、そうですね。はい。
レオさんどうですか?

レオ

そうですね、僕も基礎はある程度理解は 出来ているんですけれど、アカネさんと一緒で実際に見てみないと わからないっていう感じです。

わかりました。まぁ、もうちょっと どこかで具体的な事例をやりながら、ちょっとお話できればと思うんですけれど、今日はそういう意味では理論ではあるものの、じゃあ、もうちょっと 実践的な感じで、ちょっとイメージしてもらえたらいいかな という風に思います。
今日は財務の中でその買収をする時の話 をできればなという風に思っています。

買収時の企業評価

買収時の企業評価です。
いろいろ、これまで会計を習ってきたので、いや、企業の評価って時価総額でしょ みたいなのはあるとは思うんですが、もうちょっとリアリティ的なことで言えば、その上場企業じゃない まぁ、上場企業でもそうなんですが、普通に未上場の会社を買収する時の イメージをしてもらいながら、実際時価総額なのかなぁと言う事を 考えてもらえたらなと思っています。

買収の際にどのぐらいの株を取得する?

評価の前に買収の手法についても ちょっと考えて欲しいんですが、買収の時ってどれぐらいの株を取得する という考え方があると思いますか?

アカネ

100%を所有して完全子会社にする っていう場合だったり、50%から100%の割合で 連結会計にするパターンですかね。

そうですね。連結会計にする と言う事も結構重要なんですけれど、なぜ連結になるかと言うと、何で連結になるんでしたっけ? 例えば51%の株を買うと。

アカネ

連結にした方が、利益を最初に合算した方が 会社の実態としてより近いからですかね。

そうですね。
連結にする理由はひとつとしては利益を出すため と言う風なもので間違いないんですが、会計上51%を買うとなぜ連結、まぁ、基本的には合算になる という考え方になるんでしたっけ?

アカネ

その会社の意思決定に 深く関われるようになるから。

深く関われるって言うのは どれぐらい関われますかね?

アカネ

もうそれこそ決定権が 50%以上持っている会社にいき渡る。

そうです。50%以上じゃなく51%以上ですね。

アカネ

はい。51%。

50%と50%待っていると両方が意思決定できない っていうそういう状態に陥るので、51%以上持てば 意思決定ができるから、まぁ、別の言い方をすると支配基準 って言うんですが、支配できるからですね。
そういう意味では 100%全部買うというのもあれば、51%買って支配する ということをゴールにする。
で、会計上は51%持つと 連結決算に入って売上利益が取り込める、って言うそういう話なんですけれども、ま、会計上の観点で買収することも もちろんあるんですが、通常、事業上の観点でこの会社のこのリソースを うちのグループに取り込むと、こんなポジティブなことがあるから、じゃあこの会社を我々の支配下に入れよう って言って51%取得する、ってそういう話ですね。
で、結果として会計上連結されるって言う。
ちなみに目線としては51%以外に きっとこのパーセンテージもあるんじゃないかな、とかって何か想像ついたりします?
まぁ、このあたりはまた別途 お話できればと思うんですけれども、拒否権というのがあって 34%を持っていると、会社の重要なことを拒否できるっていう、ま、つまり 重要な事を決めるには2/3の賛成、67%の賛成がないと 物事、重要な事は決められません。
51%あれば 基本的な事は決められます。
で、重要な事と基本的な事は 何かと言うと、51%取得すると いろんな意思決定はできるんですけれども、残りの株主の権利を奪うような 意思決定はできないんですね。
なんか、わかります?

アカネ

その34%以上持っている株主が 他にいる可能性があるからですか?

そうですね 他の株主が連動して34%になれば、それは34%の勢力になるんですが、例えば、会社を 売却する時の意思決定って言うのは、2/3以上の賛成が必要なんですね。
で、会社を経営するのは、だいたい取締役会が選任する 事業執行メンバーが会社を経営するんですが、それを選定するのは 51%なんですよ。
会社を売却するっていうのは 株主の権利を奪うと言うか、ある区画があって その区画の土地を持っています、と。
で、例えば100世帯が そこの区画に住んでます、と。
で、ここに再開発の話が入ってきて、ここをどこかの大手スーパーがやる ショッピングセンターに模様替えするって言うので、土地を売れ みたいな話になった時に、ちょっとその土地の契約は どうなっているのかわからないけれど、それもおそらく 100%の賛成を得ずとも、土地を売却できる と思うんですけれど、つまり土地を売却するとなったら、もう付き合わざるを得ないって言う。 その町内会の人達は。
1人でも反対していると 永久に話が進みませんみたいな話もあれば、ちょっと特別な法律で9割とか 9割5分賛成したらもうOKです、みたいな。
そういう法律もあるんじゃないかな と思うんですけれども、ちょっと僕は そこら辺よく知らないですが、売却もそうで、いや、この株引き続き単独企業として 成長して欲しいんだけれど、いやー、誰かがこれ どこかの会社に売ろうぜって言った時、いや、売ったら俺の株が 現金に変わっちゃうじゃないか、みたいな。
しかもその現金が 納得できる金額じゃないんだけど、みたいな。
そりゃあ、100億円くれる って言うんだったら売るけれど、そんな普通の金額で売るんだったら嫌だ。
みたいな事までの反対を押し切って 売却できるのが2/3なんですよ。
51%で決議できる事って言うのは 取締役を選任できる事。
つまり経営の方針を決めることだけであって、最終的に会社を売却したりとか 解散したりとかって言う、そこまでの意思決定は 51%だとできないんですね。
買収の時においてレバレッジという 考え方があるんですけれども、会社を買う時にその会社を担保にして そのお金を借りてきて、その会社を借りるっていうのは 意味わかります?

レオ

はい、分かります。

なぜそういうオペレーションが 必要になってくるんですか?

レオ

担保に会社を入れることで 元本を回収しやすくなるからだと思います。

そうですね。
なので、お金を貸して もらいやすくなるっていう。
貸し手の評価ポイントは その時どこになると思いますか?

レオ

貸し手の評価ポイントですか。

うん、例えばお金持ちには金貸すけれど お金持ちじゃない人には金貸さない、みたいな、そういう評価ポイントで言えば、会社を担保にお金を借りてお金を使って その会社を買収する時は、どういうところを チェックすると思いますか?

アカネ

資産の中でも 流動資産がどれくらいあるかを見ると思います。

そうですね。その買い手じゃなくて その会社自体の評価ですよね。

アカネ

はい。

で、その会社自体の評価の中でも 一番重要視するのが現金持っているかどうか。
ちなみにその会社がめちゃくちゃ 利益出していて現金ありません。
で、この利益は毎年出しそうです。
これだとどうですか?

アカネ

毎年出しそうなのであれば そこも考慮に入ると思います。

まぁ、そうですね。
改めてですけれど、買収をする人ではなく買収されるものの 評価が重要になってくるんですが、それ大丈夫ですか?

アカネ

はい。

例えば小学生がちょっと僕 ゲームセンター行くのでお金1万円貸してって、業者に言って金借りられるかって言ったら 借りられないですよね。
その人がロレックスの時計持ってきて、まぁ、対応してもらえるかはさておき、じゃあ、50万のロレックスの時計持ってきて、1万円これで貸してって言ったら 貸してくれるわけですよ。
じゃあ結局その本人の信用とかは関係なく、むしろそのロレックスなのかどうか って言うのが重要なんですね。
じゃあ、その時 金を借りる買収者は、この会社の株を どれぐらい買うのが通例だと思います?
まぁ最初アカネさんから51%ぐらいですかねぇ みたいな話ありましたけれど。

アカネ

でも上田さんがおっしゃっていた 拒否権も関係あるのかなと思っていて、そうすると34%ほどっていうのも 買収に含まれるかなと思いました。

そうですね。拒否権って言うのは、まず特別決議が2/3必要なので それを拒否できる権利が34%なだけなので、つまり買収者は 何%を買わなければならない?

アカネ

66%。

そうですね。67%ですね。
自分以外が猛反対したって ゴリ押しできる比率を買わないと、銀行からしたら これ、あなたの物じゃないでしょって感じ。
つまり金を借りてきて ある会社の株を51%取得するっていう時には、金は貸してもらえない と考えた方がわかりやすいです。
で、もちろん100%買う時には、いや、あなたの物だからそれを担保に 金貸しますって言うのはできます、と。
一方67%の段階でも、いや、僕全部持っているわけじゃないけど、いざとなったら全部追い出しますので って言えば、まぁ、なるほどね と言う事になるので、2/3確保すれば良い と言う事になります。
話は戻ってケースバイケースで、51%取得するケースもあれば 67%を取得するケースもあれば、100%を取得するケースもありますよ ということになります。

買収時の適切な評価指標は?

その買収をする時に どういう指標で評価をすればいいのか?
例えば株価が安いか低いかって言うのは どういう指標がありました?

レオ

PERとかですか?

そうですね。PER。利益に対して何倍なのか とかってチェックします、と。
まぁ、他にもブックバリューって言うPBR とかもありますけれども、そういったような指標を 使っていきます、と。
じゃあ、改めて 未公開企業が未公開企業を買収する時、ま、上場企業が未公開企業を買収する時 でもいいんですけれど、被買収会社が未公開企業です、と。
その時にどういうような指標が 使われると思いますか?

アカネ

そうですね、簿価よりも時価の方が 重視されるかなと思っています。

うん、そうですね。
時価っていうのはこのタイミングにおいては いくら払うかって事に果てしなく近いですよね。

アカネ

はい。

ま、それはもちろん気にしますよね。
この会社いいねー じゃあ買い!にはならなくて、この会社いいね で、いくら?みたいな。
で、そのいくらによって買うかどうかは 意思決定されるのは間違いないですよね。
他は?
例えば当社は100店舗 レストランチェーンやってます。
で、3店舗やっているレストランチェーンが 地方にあってその会社を買収します。

レオ

ROEとかではないですよね。

ROE。いや、まぁそうですよね。
ちなみにROEって どういう定義でしたっけ?

レオ

自己資本に対してどれだけの利益が 生み出されたかを表す指標です。

そうですね。 それを例えばバランスシートで見ますと、

買収を検討する場合の被買収企業のBS

純資産のEを リターンで評価するって事ですよね。
で、具体的にどれぐらいの数字だったら どれくらいなんですか?

レオ

そうですね 10%弱だったら妥当だと思います。

まぁ、そうですね。
ま、10%弱ぐらいじゃないかって言うのは 別に変な数字ではないですが、ま、ちなみに上場企業平均で15%ぐらいじゃないか とかっていう話もしていたんですけれど、10%弱って事は10年かかるって事なんですね 純資産に対して。
ただ、そもそも 純資産って言うのは簿価なので、ま、本件では実は近いところいってるんですが、そもそも関係ないんですよね。 わかります?
じゃあ例えば純資産1億です。

レオ

はい。

年間1000万利益出します。
この会社100億で買いますか?

レオ

買わないですね。

今ROEはいくらでした?

レオ

ROE、10%。

そうですよね。だからレオさんの基準に 合っているとは思うんですけれど

レオ

そうですね。 どうですか、ROIって事ですか?

ま、投資家目線での ROIって事ですかね。

レオ

うん。

それがぐらいだったらどうします?

レオ

ちょっとわかんないですね。

普通に大学生の友達から 声かけられるわけですよ、レオさんに。
レオさん、ちょっと儲かる話あるんだけどって、1万投資したら 年間いくら返ってくるよって、これ30年は続くって言われていてって。
そんな話全て詐欺なので 引っかかっちゃダメですけれど

レオ

はい。

それが1万円突っ込んで 年間いくら返ってくるぐらいだったら乗る、という話なのかって言う話ですよね

レオ

そうですね。 他の要素ちょっと思いつかないですね。

いや、そのROIだとして どれぐらいの数字水準だったら乗りますか?

レオ

そうですね。 1000円ぐらいだったら乗ると思います。

ま、つまり10年で回収できるぐらいだったら

レオ

はい。

10% 10年で回収できるぐらいだったら、ま、ちなみに上場企業は そういう意味では、7-8%ぐらいの水準なので 10%って言ったらいいんですけれど、ちなみに未上場企業と上場企業だったら、どちらが早期に回収できる水準じゃないと 投資しちゃだめだと思います?

レオ

未上場企業だと思います。
例えば10年も存続するかわからないので 早めに回収する必要があると思います。

そうですね。じゃあどれぐらいですか?

レオ

まぁ、少なくても 15%以上は欲しいです。

そうですね。15% 7年くらい。 うん、まぁまぁそうですね。
ま、もちろんカテゴリーとか 会社の強さによりますけれど、未上場企業だったら5年とか3年とか、まぁまぁ7年もなくはないかな って感じしますけれど、10年ぐらいで見込むって言うのは なかなか見ないですね。
それは投資家としてのROI。
つまりいくらインベストメントしたら どれだけリターン来るのかっていう話ですね。

レオ

うん。

これは発行会社の立場から言えば、PERなんですけれど それは理解できています?
アカネさん、分かりますかね? ちょっと説明してもらえると。

アカネ

そうですね、買収する会社からしたら、建物とかそういった価値も 買い取ることになりますし、借金、負債の分とかも そのまま背負うことになるので、エクイティの部分が 重視されるのかなと思いました。

えっと、そこがちょっとわからなかった。

レオ

PERの話ですよね。

そうですね。
PERというのは分かります?
投資家におけるROIと被買収会社における PERは同じ意味だって言う。

レオ

分かります。

じゃあレオさん。

レオ

いや、分かるんですけれど、えっと、PERがなぜ最重視されるか がちょっと分からなくて。

PERの定義は?

レオ

株価が1株当たり利益の 何倍になっているかを表す指標です。

そうですね。
もしくは時価総額が全体の利益の何倍 になっているかの指標ですよね。
ま、両方、株(株数)で割れば 株価が1株当たりの利益なので

レオ

うん。

つまり、1500円利益出ていて 1万円の時価総額だって言ったら、7倍だっていうそういう話ですね。
で、未上場企業であれば5倍とかで 買収すべきだってそういう話です。
アカネさん先ほど言っていた、資産とか有利子負債があるから純資産を評価 すべきだっていうのはどういうことですか?

アカネ

そうですね 純資産って言うのは簿価でしかない、っていうところが あったと思うんですけれど、とは言え純資産は 資産から負債を引いたものなので、それを重視してもいいのかな という風に思いました。

なるほど。 時価の方が重要だけれども、簿価上の数字がどうなっているのかって言うのも 考慮した方がいいんじゃないかと。

アカネ

はい。

それは何でなんでしたっけ?

アカネ

いや、でも買収のタイミングで 土地とかも現在価値に戻すんですかね?

買収の種類にもよりますよね。
例えば買収して合併するって言うんだったら 戻すことはあり得ます。
買収して 例えば100%取得しました。
これはまぁ ケースバイケースかもしれないですけれど、少なくとも67% 株持ちましたっていうのは、発行会社からしたら、何のコーポレートアクションにも 繋がってないんですよね。
経営陣の立場からしたら、なんかよく分からないけれど最近株主が株 売ったらしいな、ふぅーん、以上ですから。
もう一度アカネさんが気になるのは どういうことですか?
なんとなく引っかかりそうだな、みたいな。

アカネ

いや、ちょっとPERのところが 分かってなかっただけなので大丈夫そうです。

例えば資産が1億円です。
有利子負債が2億円です。
利益は出ています。
この会社1円で売っています。
これはPERの観点からは 合格水準だと思うんですが、どう思いますか?

レオ

えっと、すいません。
その会社がどれだけの利益を 出しているかは度外視した状態ですか?

じゃあ例えば 1000万円出てます、と。
資産が1億円。 有利子負債が2億円。
で、この会社を1円で買収できます。
年間1000万利益出てます。
これPERでいくらですか?

レオ

すみません、与えられた数字から PERを算出する方法がわからないんですけれど。

PERの定義は何でした?

レオ

だから、株価が1株当たり 利益の何倍になっているか。
でも、これだと 株価が明示されてなくないですか?

それは1株当たりですよね?

レオ

はい。

PERの別の定義は? 会社全体で表すと?

アカネ

時価総額が株の何倍かなので 今回の場合って1円って事ですか?

そうですね。時価総額が 会社全体の総利益の何倍かですよね。
総利益と言うか 会社全体の利益の何倍かですよね。

レオ

わかりました。

で、時価総額は今回の場合1ですよね。
会社全体の利益は1000万ですよね。 そうすると?

アカネ

1000万分の1。

上場企業の平均が15倍とかって 言われている最中、もしくは5倍ぐらいで買収した方がいいよね って言われている最中、激安ですよね。
1年経たずして 回収できるわけですよね。
1日か2日で 1日ぐらいで回収できちゃうかな。
もう1円だったら瞬殺ですもんね。
まず、そんな案件ってあると思います? ないと思います?

レオ

どうなんですかね。すごいレアケース だと思いますけど、ないことはないかな?

もう一回言いますけど、資産が全てで1億円。総資産が1億円。 有利子負債が2億円。
で、1円で売ります。

レオ

あり得ないですね。

なぜあり得ないんですか?

レオ

そうですね、いくら有利子負債が 2億あるからと言って、資産が1億あるのは事実だし 年間利益1000万円出すなら、それを1円で売るっていうのは だいぶ乱暴と言いますか

ま、でも資産1億円ありますけれど 有利子負債2億円あるって事は、資産1億円分の内 1億は抑えられているって事ですからね。

レオ

うん。

あくまでマイナス1億円の状態なので、一言で言うと債務超過の状態なので、ま、その状態で すごく利益を出していたら、もっとバリエーションが つくでしょうけれど。

レオ

うん。

1000万の5年分で 5000万の価値だと見越しても、足りていない1億円の負債 には追いつかないので

レオ

うん。

1億円で引き取ってもらえるんだったら、1億円で渡しますって言うのは 変じゃないかもしれないですよね。

レオ

うん。

まぁ、そもそも誰がこいつに 2億円も貸し込んでって言うのは、あり得ないかなって気はしますけれど。

レオ

ああ。

ま、でも、昔は債務超過じゃなくて バランスしていたけれど、まぁ損失が連発して 資産が減っちゃって、1億に減っちゃったけれど、有利負債は2億のままです みたいな事はあるかもしれないですね。

レオ

うん。

アカネさんがさっき気になっていたのは こういうことじゃないんですか?

アカネ

そうですね、はい。

じゃあこういう時 PER的にはすごいお買い得なんですけれど、でも、そうでもないじゃないですか。
ちゃんと検討しないと いけないですよね。
そう考えると どういう評価がいいと思います?
つまりPERだけだと ちょっと怖いなって言うか。

レオ

PBRも照らし合わせて 見るのが大事ですか。

まぁ悪くない日本語ですね。
PBRで見ても割安で PERで見ても割安じゃないと、買っちゃダメよって言う。
そういう事は 変な日本語ではないですね。
さっきので言うと PBRは債務超過しているので、ほとんど資産がないと言うか、資産がマイナスってるのを 1円で買わされるって言う事なので、PBRの視点で見ると 良くないですから。
ちなみにLBO、Leveraged Buyout って言うんですけれど、さっきの借金をして 会社を買収して、その後、借金をした自分とその対象会社を 合併させるっていうプロセスがあるんですね。
ま、つまり結局金を借りてきて その会社を買って、その借金をその会社に付けちゃう っていう話なんですけれど、これはどういう事かって言うと、対象会社の有利子負債が 増えるって事なんですね。
で、元々、純資産が厚い会社にしか 適用できないんですが、ま、さっきアカネさんは流動資産がある って言う日本語にしましたけれど、負債が多かったら流動資産が いくらあってもしょうがないので、例えば20億の現金がある会社 LBOできますかって、いや、でもあの会社 30億借金あるから無理ですよ、ってそういう、それだけの話で、20億の余剰現金があればいい っていうそういう話なので、巡り巡って言うと 純資産が厚い会社に対して、負債で買収を仕掛けて、最終的に合併することで、有利子負債を増やせられる という事なんですけれど、今なんかダラダラと ややこしい事を言ってちょっと、どこまで理解できているか わからないですけれど、言いたいのは、最終的に買収して 100%子会社なりにした時に、買収した人は 有利子負債と純資産、有利子負債とエクイティは 自分でバランスできるって事なんですよ。
自分でコントロールできる って事なんですよ。
意味わかりますか?

アカネ

だから買収する側の会社が 全て買収される会社の株を持つんじゃなくって、一部負債を増やしてください っていう指示が出来るって事ですかね?

そうですね。株は全部持って負債を 人からの負債に切り替えるっていうのは自由だ。
もしくは人からの負債を 自分が金払って減らすことも自由だ。

アカネ

その買収される側の会社の負債って 一旦返さなきゃいけないとかはないですよね。

それはケースバイケースで 契約書にもよるので、一旦返さないと いけないかもしれないけれども、まぁ、本来であれば 借りられる負債はまた借りられるので。
銀行も商売でやっているので。
つまり2億円の借金を持っている会社を 1円で買収して、何だったら2億円全部返済すれば いいんですよね、こっちで。
もしくは返済しなくてもいいですけれど、それは調整すればいいだけです。
1億円返して 1億円借りっぱなしにするのか。
別の言い方すると 有利子負債が0の会社を、2億1円で売ってますっていう会社を買収する のとあんまり変わらないですよね。
今までのところわかります?意味。

レオ

わかります。

アカネ

はい。

つまり買収する時には、何を買収すると考えれば わかりやすいですか?

アカネ

時価総額+負債。

そうですね。はい。負債ではなく有利子負債 だと思ってた方がいいですね。
回転差資金の部分 営業系負債のところは、多分手付かずで そのまま行ける可能性が高いので。
例えば、従業員の給料後払いにしています。
買収したからって急に 前払いにする必要ないので。
負債の中でも有利子負債ですね。
じゃあ、A社 B社あります、と。
有利子負債と純資産の合計がこっちは1億円。 こっちは5000万。
利益水準は一緒です。
ってなったら、単純に合計を見て 安い方を買えばいいって事ですよね。
で、買ってから有利子負債の比率をどうするのか って、またコントロールしたらいいし。
増やすなら増やしたらいいし 減らすなら減らしたらいいし。
それはその 借りられるかかどうかは、こっちのグループの問題でもあるので、こっちが現金余ってるかの 問題もあるので。
正直、被買収会社がどれぐらい負債に頼っていて どれぐらいエクイティに頼ってるかなんて事は、あまり気にする必要はない。
じゃあそれが買収する時の 分母的なものだとしたら、その会社がいくら利益が上げているのか っていうのが重要だと思います?
それとも他にどういう指標が 重要だと思います?
利益って言うのは何利益ですかね? 採用すべきは。

アカネ

純利益じゃないんですかね。

なぜ純利益ですか?

アカネ

最終的に株価に影響するのは 純利益だからですね。

買収を検討する場合の被買収企業のPL

そうですね。 ま、いろいろ利益がありますけれど、最終的に株価に影響するのは この最後の当期純利益のところですよね。

アカネ

はい。

じゃあ例えばA社とB社があります。
お互い有利子負債とエクイティ 合計で1億円で手に入ります。
ここまで大丈夫ですか?

アカネ

はい。

レオ

はい。

A社の方はすごく有利子負債があります。
B社の方は ほとんど有利子負債がありません。
営業利益は一緒なんですけれど、A社は有利子負債がいっぱいあるから、金利がいっぱい引かれて 最終利益が低いです。
だから最終利益の大きい方を買収します。
これは正しいですか? 間違っていますか?

アカネ

買収して負債を返してしまえば 関係ないですかね、金利は。

そうですね、関係ないですね。
つまり負債とエクイティの合計が一緒で 営業利益が一緒だったら、買収会社からしたら一緒ですね。
金利いくら払っていようが、いや、その金利はちょっと どういう風なストラクチャーにするか、買収してから考えるから それを計算に入れると、ちょっと正しく企業が 評価できないってなってくるので。
ちなみに減価償却は どう考えるべきだと思います?

アカネ

償却されてない分の数字を見る ですかね?

償却前利益ですね。 それはなぜですか?
例えばどちらも1億で手に入ります。
両方営業利益は1000万です。
片方は何も償却していません。
片方は実は1000万償却していて 償却前利益が2000万です。
それぞれどういう状況で どう判断すべきですか?

アカネ

そうですね、実態で言ったら、償却していない会社の方が 価値は高くなると思います。

償却していない会社が 価値が高いのはなぜですか?

アカネ

あ、償却した会社ですね。後者の。

償却した方。そうですね。

アカネ

はい。

償却した会社の方が価値が高い。 なぜですか?

アカネ

会計上償却して 数字が入っているだけであって、実態は 売上がもっと出ているから。

そうですね、ま、売り上げは ちょっとわからないですけれど、現金が毎年2000万増えているからですね。

アカネ

はい。

償却しているのは会計上の処理なので、要は1億円払って買った会社が、毎年1000万捻出しているのか、毎年2000万捻出しているのかどっちなの ってそういう話なので、そういう意味では償却前利益を 評価対象にした方がいいでしょう、と。
別の言い方をすると、営業キャッシュフローっぽいので 評価した方がいいでしょ、ってそういう話なんですよね。
つまり利益っていうのは、その会計上の問題から償却とかって言って いろいろ操作するんですけれど、そんな操作はさておき、俺は今から1億円突っ込むんだけど、1億突っ込んで毎年現金を叩き出す ってそういう言う話を聞きたい。
ただ、いくら現金叩き出すって言う その営業キャッシュフローも不適切で、なぜなら金利がさらに減ったものが 営業キャッシュフローとして出てくるので、そういう意味では そういった要素を全部省いた、事業本体から出てくる 捻出できる現金がいくらなんだ、って言うのを評価基準において、A社B社C社を見比べた方がいいですよね、ってそういう話になります。
今のをまとめると、

EV(Enterprize Value)とは?

まず分母になるべきは、Enterprize Valueと言われる 企業価値と言われるもので、ネット有利子負債+株式時価総額。
有利子負債に株式時価総額を 足してもいいんですけれど、仮に2億円定期預金しています。
って言ったら有利子負債をその分減らしても いいと思うので、計算上。
ま、そういう意味では ネット有利子負債ですね。
もしくは、ネット有利子負債ではなく、有利子負債+時価総額-余剰資金とか余剰資産 が企業価値ですね。
ま、これ、企業価値という 指標があるんですが、買収する時見るべきは 時価総額を見るべきではなく、企業価値を見るべきです、と。

EBITDAとは?

二つ目、分子の方なんですけれど、イービットダーというような 指標を使います。
これ、イービットと言うのは よく使われる単語なんですか、営業利益みたいなものです。
Earnings Before Interest, Taxes、インタレストが金利なので、ま、要は税引前、金利支払前の利益。
つまり営業利益がイービット みたいなものなんですけれども、加えてDAっていうのが 減価償却の意味なんですけれど、要は減価償却前営業利益 というそういう意味なんですね。
ちょっと改めてなんですが、

EV/EBITDAとは?

イーヴィー/イービットダーという指標があって、この指標はいったい何なのかと言われたら、要は負債と株式時価総額の合計 仮に1億円ですっていうのを、減価償却前の叩き出す利益2000万で割って 5倍みたいな。
じゃあ5年で回収できます。
ま、正確に言うと 借入したり税金払ったりするんだけど、少なくともそれは こっちがコントローラブルだし、5年で回収できるかどうかはさておき、この指標を使ってAかBかCかDかの どれを選ぶべきなのかという時に、意思決定できる指標になります。
ここまでで質問あります?

アカネ

大丈夫です。

レオ

その買収時に使う指標は EBITDA分のEVって事で。

そう、そうです。
EV/EBITDA。はい。
つまり、時価総額とかを見るのじゃなくEVを見るし

レオ

はい。

利益を見るんじゃなくEBITDAを見るし。

レオ

うん、わかりました。

これ実際ガイアックスで昔 ちょっと買収しようぜって言って、ある何社かの会社を チェックしてたんですね。
買収する時って1社買収するのに 100社を見た方がよくて、いろんな会社も分析しました、と。
そんな中で、いやこれなんか利益見ても しょうがなくない?とか、これ買収金額見ても しょうがなくない?みたいな。
結局有利子負債とかも こっちにのしかかってくるから、ってか、そんなのは後で いくらでも組み替えられるから、そういったものを全部ならして評価しようよ っていう話になって、結果的に果てしなくEV/EBITDA的な形で、買収検討する会社を 評価しはじめてたんですけれど、翌日出社してきたCFOに これこんな感じで評価しようと思うんだけど、って言ったら それEV/EBITDAですよねって言って、あっ、そういう指標あるんですね みたいな。
で、こういったことは結局、今回はこういう指標があるから 別に使えるんですけれども、その常日頃からいろんな コーポレートアクションとか、いろんなこの投資をするとか しないとかっていう時に、そのPLとかBSとかCFが 何故どのようなロジックで作られていて、もしくはこのPERとかROEとか、どのような観点でどのように作られていて、どこが今この意思決定にこの指標を使うのが 適切なのか適切じゃないのか、どうカスタマイズしたらいいのかっていう、そういったことを 普通に考えたら、別にこういう指標を覚えなくても 出てくると思うし、ま、これの例えば減価償却代とか 別に折り込まなくて良くない?みたいな。
そういった事をその場で この指標を仮に知らなかったとしても、言えるかどうかって言うのが 重要かなと思いますね。
だから逆に あんまり指標ばっかり頭に入れるより、その背景を理解していないと、なんか使い勝手悪いし使えないし、あんまり肌についてる感じはしないな という気がしますね。
はい、じゃあ今日は以上ですけれども、全体として何か質問・感想等ありますか?
例えばレオさんとアカネさんが 二人で会議室にいて、10社のPL、BL渡して どの会社が一番おいしいですかって言った時に、この指標にたどり着いた自信あります?

レオ

全くないです。

アカネ

いやー、難しそうですね。

ま、1社1社、ああでもない、こうでもない って話をするんでしょうね。
ここは資産が多いから 考慮する気なんじゃないかとか、相対的にこの会社が 一番美味しそうですけれど、指標には落とせません、みたいな。 かもしれないし。

アカネ

毎回毎回今まで習った指標じゃ 不十分だよねって言って、新しい指標が出てくるのが 個人的にすごい面白いです。

そりゃあそうですね。
まぁ、今は財務基礎と言う事で そういう基礎的なことを言っていますけれど、応用編になるとあまり新しいのは出さずに どう使うのかっていう話ができればと思います。
でも本当 基礎的なところを身につけていたら、まぁ本当に粗方想像つくし、あと例えばデットはなんとなく美味しいとか レバレッジが効いておいしいとか、物事にはフローとストックがあるんだとか、そういう基本的なことが頭に入っている方が 重要かなという気がしますね。
はい、では今日は 以上で終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。

レオ

ありがとうございました。

アカネ

ありがとうございました。

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