優先株式増資の際に、企業価値が…

前回に引き続き、経営者には会計上の利益を最大化したいという動機を持つタイミングがあります。その中でも実態に伴わない操作をしてしまう「粉飾」のケースについてお話しします。
はい、では本日も 経営カレッジをやっていきたいと思います。
ガイアックスの代表の上田です。 よろしくお願いします。
ガイアックス新卒1年目のアカネです。
ガイアックスインターン生で 大学3年生のレオです。
よろしくお願いします。
お願いします。
よろしくお願いします。
粉飾決算の動機
今回は前回やった利益をどう捻出するのか、会計上利益をどう計上するのか、に近い話で、粉飾決算について話ができればなと思います。
ちなみに前回の 会計的に利益を出すのかという話と粉飾決算、何が似ていて何が似ていないと思います?
前回はどう捉えるか、どう表現するか って話だったと思うんですけれど
粉飾決算ではないっていう話だと思っていて、今回はそもそも良くないこと っていう感じだと思います。
そうですね、粉飾決算もね、すごいマイナスの粉飾決算も あるかって言ったらあるんですけれど、一般的にはあまりなくて いかに業績を良くするかということで、言わば一線を踏み越えているものが粉飾決算で、解釈とか表現とかの話が、会計上どう利益を出すのか っていうそういう話なので、一歩踏み越えたというのだと思って頂いて 大丈夫です、と。
そういう中で、じゃあ 粉飾決算をする動機っていうのは、簡単に言うと会計上利益を出したい時の動機と あんまり変わらないですけれど、改めてどんなのがあると思います?
この粉飾決算とか会計上利益、これ、過剰気味に出してないかと 判断することってよくあるんですけれど、恐らく、殺人事件とかでもすごく 捜査上重要にするのが、多分、動機だと思うんですよね。
証拠が整っているかとかより動機の有無。
いったい彼を殺したいのは誰なのか っていうところから捜査を始めるんであって、フラットに考えるより 動機から考えた方が物事簡単なんですよね。
例えば我々が投資をします、と。
じゃあ、この会社粉飾決算しているのか してないのかとか、いろんな会社と付き合う時にこの会社 粉飾決算してるのかしてないのかって言うのは、動機の有無から考えていった方が良くて、動機もないのにこんな事しないので、改めてですが、粉飾決算の動機。
株主から見て 利益がたくさん出ている方がいいと思うので、そこを気にして粉飾する っていうのが一つあると思います。
そうですね、その通りですね。
もう一段踏み込むと どんなシチュエーションがあります?
株主から見て。
例えば走っている時と言っても、マラソン選手もいれば 単に会社に遅刻しそうで走っている時もあれば、毎朝のゆっくりしたジョギングも あると思うんですけれど、株主から見てっていうのも いろんなシチュエーションがあると思うんですが。
そうですね、大企業みたいに 株主の保有率が高いような状況で、会社としても もう成熟しているようなタイミングとか、それぐらいしかちょっとわからない。
そうですね。 少なくともそれはありますよね。
大手企業で 日々の業績やニュースに流れていて、経営者が優秀だ、優秀じゃないと 週刊誌で叩かれています、と。
そんな中、今期決算の数字が悪かったら また叩かれるわって言う。
そういう中で株主のプレッシャーを感じながら、業績を上げるって言う そういうシチュエーションです。
他にも例えば未公開ベンチャーが、ちょっとファイナンスしようかな と思っているけれど、なかなか数字が足りない、と。
ちょっとここは利益をちょっと強引に出して ファイナンスしたいな、みたいな、そういう視点もあれば、株主との握りで業績連動の報酬が取れる みたいな枠組みを組んでいる時に、粉飾決算をして数字を上げて、自分の報酬をたくさん取りたい、みたいな そういうシチュエーションもあるかもしれません。
他はどうですか?
他に株主目線でってことですよね。
まぁ、株主目線でもいいですし 他の目線でもいいですよ。
こういう人の目線上こうします、みたいな。
例えば、取引先に赤字を黒字に見せかけて、取引先にこの会社大丈夫だ って思わせるような動機ですかね。
そうですね、はい、それもなくはないです。 ただ、頻度としては低いと思います。
会社を取り巻くステークホルダーで 決算に興味があるステークホルダー、上の方にいるのは誰? まぁひとつは株主ですよね。
はい。
他は?
顧客。
顧客興味ありますか?
例えば、マクドナルド今年赤字だから行くの やめようとかってそんな話しないと思いますよ。
ビックマックが3割引だから行こう、とか、そういうレベルの話しかしないと思うんですよね。
地域社会ですか?
地域社会とか税金。 税金という観点ではあるでしょうね。
あと公共事業に入札する時に 決算が黒字でなければならないとか、純資産がこれくらいないと入札資格ありません みたいなこともあり得るので、そういう意味では そこが若干絡むかもしれませんが、あんまりないですね。 じゃあ続いてレオさんどうですか?
金融機関ですか?
そうですね、具体的には?
具体的に。まぁ、赤字の会社に貸付とかって いや、違いますね。
いや、合ってます。
合ってます? 黒字で業績の良い会社は、返せる能力があるので 貸付とかしやすいのかなと思います。
そうですね、金融機関って言うのは 銀行のことを言ってるんですよね?
はい。
金融機関という単語は もうちょっと広い単語なので、銀行とか証券とか保険とかも含めるので。 得てして銀行を表現したりするんですけれども、まぁ、でも厳格に言うと金融機関の中でも 銀行って言うのはステークホルダーで、決算に興味を持つという観点では 上位の方に上がってきます。
つまり会社のビジネスをやるにあたっての 元手のお金を拠出するのは誰と誰ですか?
株主と金融、銀行です。
そうですね。
まぁ、主体、他にもいっぱいありますけれど 主体はその二つです。
回転差資金で現金を稼ぐとか そういうやり方もありますけれど、デット部分を提供するのが銀行で エクイティ部分を提供するのが株主・投資家。
この人達はこの会社にお金を出しているから、この会社大丈夫かよと言うツッコミを、 常にチェックしているし、ツッコんできます、と。
そういう意味では 粉飾決算をする理由のもう1個は借入、金融機関に対する姿勢として 黒字でなければならないということで、決算を作りにいく というような動機があります。
それに比べると取引先とか従業員っていうのは 比較的決済に興味がないので、優秀な社員を採用するために、粉飾決算をして業績上げるように見せました、なんてアホらしくて多分しないですよね。
取引先も足切りがあるかもしれないけれど、本当にあるのかって言ったら、あんまり聞かないですよねって言う。 まぁ、ゼロとは言いませんけれど。
株主のところに関連して、既存の株主からの評価を高めるために 決算を維持すると言う観点と、新規でお金を調達する新規株主のために、例えばIPOを含めて 上場するために決算を作りにいくとか、まぁ、そういう事もあり得はします。
利益が必要な状況
では、まとめですけれども、利益が必要なタイミングって言うのは上場だったり、株主からのエクイティファイナンス、もしくは銀行等からのデットファイナンスとか、そういった既存のお金を出し手からの 業績プレッシャーのために利益が必要で、つい道を踏み外してしまう というようなことですね。
粉飾の方法は?
では具体的に粉飾の方法 どういう方法があると思いますか?
わからないですけれど、普通に 内容虚偽の財務諸表を作成するとかですか。
その通りですね。 型落ちの冷蔵庫10万円で仕入れたものを、10万円のまま維持するのか 5万円位で売れそうだから5万円に引き下げるのか、型落ちだから0まで引き下げるのか みたいなのは、会計上どう処理するかの範疇ですけれど、そういう事実に基づいた もしくは見解的にどうかとかではなく、全く架空の財務諸表を作るって言うのが いわゆる粉飾なわけではあります。
ただ、ぺろって適当に作って作れるほど 甘くないケースもあるので、比較的バレにくい方法で みなさん架空の数字を作りにいくんですけれども、どういうような方法がバレにくい、もしくはどういうような方法が 会計上の見解とはそれ言えないよね、みたいなレベルなのかってどう思います?
ちょっとわからないです。
その時間をかけて減価償却する とかは解釈の世界になりますよね?
まぁ、そうですね。 基本的には解釈の世界ですけれど、まぁ、それはダメでしょと言うぐらい償却 しなかったらまぁ、粉飾かもしれないですね。
でも、実際その売れなかった物を 売れたっていう風に計上しても、監査が入らなかったら バレないこともあるのかなと思いました。
そうですね 中小企業だったら別にバレないですね、正直。
採用の時に履歴書を みんな提出しますけれど、正直、履歴書に嘘を書いてもバレないですよね のと同様な感じ。
一方、上場企業、国内でも 3-4000社しかないわけなんですが、そういう万人の目にさらされるようになったら、そんな舐めた粉飾はとてもじゃないと できないですよね、ノリで言うと大臣になる時に プロフィール嘘ついてました、とか、まぁ、考えられないですよね、みたいな そういう感じ。
例えば、売上をつける、全く何の根拠もないけれども、売上上がりましたって言うけれども、そうするとバランスシート上は どうなると思います?
なんの根拠もないのに売上つける それは資産が多く計上されますよ。
そうですね、何ていう名目の資産が増えます?
流動資産ですか。
流動資産の中でどれですか?
流動資産の中で?
現金ですか?
まぁ、そうですね、現金嘘ついたら、監査法人とかのチェックは 確実に乗り越えられないんですけれど、まぁ、本当にチェックがなければ そこまでやっていいですけれど、ある程度監査法人のチェックがある中で、粉飾をしようと思ったら どうすると思います?
なんだろう?
売掛金だけつける。
そうですね、売掛金ですね。
売上上がりましたって言って 1億円の売上ですって、これ現金増えてないじゃない。 いや、入金予定がいついつでして。
そうすると 売掛が爆発的に増えていくんですね。
嘘ついた売上の分だけ 嘘の売掛金が増えていくんですよ。
はっきり言って 売上に対して売掛金が何ヶ月分なのか、本来45日ぐらいで 回収しなければいけないのに、売掛金が3ヶ月分とか4ヶ月分あったら、もうその時点で 売上嘘ついているんじゃないですか、みたいな、いやいや、実は特殊要因があってとかって、言って。 本当かな、みたいな。
そういう話がスタートするわけですね。
それとか これも粉飾なのかどうか微妙ですけれど、出資をする代わりにうちの商品買ってよ。 これはどうですか?
無理矢理出した利益って感じが しますけれど。粉飾なのか。
その商品を買って実際に適正な価格で 適正な商品を実際に購入して、実際に使っているとしたら 粉飾じゃないかもしれないですね。
それがペーパーワークだけだったら それは粉飾でしょうって言う話。
ただ、出資をして連結になったら 連結決算上消去されるので、持分(持分法適用会社)でも複雑だから、例えば10%出資した先に 商品買ってもらうって言うのは、なんとも言えない感じではあるでしょうね。
ちなみに粉飾をする会社が現金が厳しいか どうかはケースバイケース。意味わかります?
ちょっとわかってないです。
現金がないと思っていました? 粉飾する会社って。
いや、そうは思ってなかったですね。ただ、そうですよね。 だからエクイティファイナンスとか、デッドファイナンスをなんとしてでも しなければいけないっていう時は、現金がない状態で 粉飾をするんでしょうけれど、例えば上場したいとか、例えば業績が良くないと 僕が経営者として叩かれるとか、業績と僕の報酬が連動している っていうケースにおいては、もしかしたら現金がたんまり あるかもしれないですよね。
その現金を使って1000万出資するから 500万うちの商品買ってよっていうのは、やっちゃうかもしれないですよね。
それが実体があれば 別に変な話じゃないんですが、実際メーカーの立場で もしくはソフトウェアを持っている立場で、いろんな代理店とかに金を突っ込んでいって、出資もするから 俺らの言うこと聞けよって言って、俺らの商品を優先的に売ってよ、みたいな。
そういう力技は普通に行われる事なので、別に変な話じゃないかもしれないです。
まぁ、それが実体のないペーパーワークだったら それは粉飾ですよね、みたいな。
後はバーターですね。
こっちの商品を買ってよ。 そっちの商品買うからさ、みたいな。
これは会計的にどう処理されると思います?
PL上で純利益が増えて BS上では資産も増えるけれど純資産も増える。
そうですね。 購入したものが資産になるという話ですよね。
はい。
例えば僕のコーラ買ってよ、と。 そっちのアイスクリーム買うから。
これは売上がお互い100がつきますけれど、お互い費用が100つくから 全く利益が増えないし、売上が増えるという観点では、売上の粉飾という意味では 意味がありますけれど、利益の粉飾にはならないですよね。
一方でうちがそっちの労務の管理システム 1000万で作って納品するから、逆にうちの会計のシステム そっちで1000万で作ってよって言ったら、お互いが1000万の売上が上がって お互いに1000万のソフトウェアが納品され、その1000万が 例えば5年とか10年で償却されたら、そのトランザクションが起こった1年目は すごく利益が出るって言う話ですよね。
まぁ、これも実体があったら 粉飾とは言えないんですけれど、全く使いもしないソフトウェア同士を バーターしているとかになると、いやもうそれは粉飾じゃないですか っていう感じになってきますよね。
まぁ、このあたりは監査法人が入っていても やりかねない粉飾だし、それをどう乗り越えるのか っていう感じのものかもしれません。
他に売上をつける方法としては 例えば増資とか借り入れをしてもらいました。
で、会社に現金が入金されます。 そこまで大丈夫ですか?
はい。
それを売上って言っちゃうっていう粉飾も 巷ではよく見受けられると思います。
この粉飾は何がいいんですか?
本来だったらBSにしか 反映されないと思うんですけれど、実際返さないといけない お金じゃないから、PLに入れてもバレないんですか?
そうですね、なかなかバレづらいですよね。
例えば売掛金で嘘の1億円を作ったら、この1億いつ入金されるんですか? って詰められ続けるんですけれど、最終的に入金がなければ これ売掛倒れですよねってなりますけれど、増資で振り込まれたお金を これ売り上げですって言っちゃえば、まぁ、バレる時はバレるでしょうけれど、バレるまで時間がかかるかも しれないですよね。
普通の監査法人がガチで入ってると、そこまでの粉飾ってのは あり得ないと思いますけれど、まぁ、そこまでガチで入ってない場合であれば、もしかしたらこれぐらいの事は してくるかもしれないですよね。
ちなみにライブドアが昔粉飾決算をしたっていう イメージがあると思うんですが、あれはかなり粉飾とは言えない、正直に言ってあの時の会計基準からいくと、何がダメなことをしたのか っていう感じなんですけれども。
自分の株 例えばガイアックスっていう会社が、ガイアックスっていう株を安く仕入れて、高くマーケットで売って その差分はどう評価されると思います?
もうちょっと別の事例で説明すると、ガイアックスのある事業部が トヨタの株を100円で仕入れて、値上がりして 200円になったところで売りました。
ガイアックスの決算では どう評価すべきだと思います?
資産が増えた。
そうですね。現金が増えた、ですものね。
はい。
PL上はどうですか?
PL上は反映されない。
トヨタ株を100円で仕入れて200円で売りました。
PL上は?
利益も増えますかね。
そうですね、利益増えますね。 株のディーリングが本業であれば、ガイアックスも投資事業が本業ではあるので、ガイアックスなら売上についてくると思います。
まあそれか本業でなければ 特別利益みたいな名目とか、営業外利益みたいな名目で 入ってくるかもしれません。
どちらにしろ利益として計上されます。
当たり前ですけれど 100円で仕入れたトヨタ株が200円で売れたら、それは利益として入ってくるよね、と。
現金も実際増えるし、BSにも反映されます と、そういう話です、と。
ライブドアがやったのはある事業部が、ライブドア株を安く仕入れて高く売りました。
これは会計上どう表現されると思います?
でも、さっきと同じじゃないですかね。
そうなんですよ。
さっきと同じの可能性がすごく高いのですけれど 会計にはルールがあって、自社株に関しては PLに載せてはダメなんですよ。
資本直結って言うんですけれど、PLには一切表現せずに 現金と純資産だけぴょこって増えるって言う、そういう処理をしないといけないんですよ。 そこまで大丈夫ですか?
はい。
なのでライブドアはライブドアの会社の中の 事業部にそれをさせたのではなくて、ファンドを作って そのファンドがそれをやったんですよ。
で、しかも ファンドのマネージメントをしているのは、ライブドア自身じゃなくて 別の会社がマネージメントしているんですよ。
そうなると、ライブドアとしては、誰かさんがマネージメントしている ファンドに100出した、と。
で、そのファンドが頑張って業績をあげて 解散して200返ってきました、と。
100利益が上がりました って言っただけなんですよ。
正直そのファンドで何の株を買っていた とかよくわかりません、みたいな。
まぁ、感覚的に言えばね。
ただ、実体のふたを開けてみたら ライブドア株だったって言う。
ただ、外形的な条件は全部整っているので、当時。
じゃあ、これを粉飾と立件するのは キツイだろうって感じ。
100歩譲って決算の修正とかぐらいで、これがいきなり上場廃止って どんなにキツイんだって言う。
じゃあ、ライブドア株を仕入れて 高値で売ったんですけれど、まぁ、それ 百発百中で高値で売っていたんですね。
なぜそんなことができたか?
なんでそんな事ができたと思います?
自分の会社の情報は 自分たちが一番分かっているからですかね。
そうなんですけれども、実はそこでも一番主要なところでは 悪い事をしていなくて、そういうインサイダー情報を使って安く仕入れて インサイダー情報を使って高く売るって言ったら、すごいこれ犯罪なんですけれど、当時、100分割っていう手法があったんですよ。
自分の会社の株の分割ってすると、経済的にどういう効果が現れるかわかります?
例えばアカネさんが1株1万円の会社を 1000株で1000万の資本金で始めました。
ある時10分割して 1株1000円で1万株に増やしました。
これは経済的に 何か変化があったと思います?
いや、変わらないと思います。
これ全く変わらないですよね。
はい。
当時、上場企業が株を100分割すると、今まで例えば10万だった株が、1株ね。
1株10万だった株が 1000円で買えるようになる、と。
なので、お金がない人にも 買える対象になるので、まぁ、そういう意味では価値が若干上がる っていう傾向は僕もわかりますけれど、当時の株式マーケットにおける投資家が バカすぎて、個人投資家が、100分割すると 株価が2倍にも3倍にも上がってたんですよ。
まぁ、そこにはもうちょっとロジックがあって、100分割した瞬間、一時的に流通する株式が 1/100しか流通しなくなって、その時買い占めたら株価がびゅびゅびゅびゅ って上に上がるっていう効果もあったんですけれど、まぁ、どちらにせよ 株を仕込んだ後に100分割して、株価が上がった所で売り抜けるっていう そういうような手法をしていたんですね。
でも、100分割することが、株価が上がること自体がおかしいのであって、まぁ、それも含めて まぁ、うまいことやっているし、悪いとは言えないよな、みたいな。
よくもまぁ、あれを有罪に立件したなって いうのが横から見てて感じる事ではあります。
まぁ、ちょっと細い話もできましたが 続いてですね、
BS上での粉飾方法の整理
バランスシートを見ながら もう1回整理したいんですけれども、結局純資産を増やすっていうのが、利益を増やすっていう事なので、資産Aをどう膨らませるのか、そして負債D、デットの部分をどう減らすのか、っていうようなところの視点で 粉飾決算をします、と。
例えば、ありもしない売掛金を作ったり、バーターしてわけのわからない ソフトウェアの資産をうちに積み上げながら、売り上げをとったり、そういうようなオペレーションをして 粉飾をしがちだって事ですね。
じゃあ、続いて、
どこからが粉飾か?
どこからが粉飾で どこからが会計の範疇だと思いますか?
その会計の際に減価償却とかも やり過ぎたら粉飾になるんじゃない。
そうですね、やり過ぎたら 粉飾になるかもしれないですね。
あと棚卸しの際に 資産の評価額を変えすぎたら。
でも、そこら辺は 会計の評価の問題のレベルでしょうね。
現金が伴ってなかったら 確実に粉飾だとは思います。
まあそうですね、カラ売上で現金が入ってきません みたいな、それは粉飾でしょうね。
現金が伴ってなかったら。
まぁ、他の表現としては 実体が伴ってなかったら。
ある社長さんが上場した機に自社の売上が 足りなかったから自分で商品を買ったんですよ。
これは粉飾?粉飾じゃない? どっちですか?
粉飾とは言えない気がします。
そこがですね、自分で商品を買ったんですけれど 商品のデリバリーをしっかりしなかったんですよ。
例えば会社にパーティーを発注して パーティーをしなかったんですよ。
ちゃんとパーティーをすれば売り上げだったのに パーティーをしないから粉飾だった訳ですよね。
もちろん、関連当事者が買ったっていうことで、開示が必要になるかもしれないですけれど、開示したところで、いやいや僕これだけ 金使うつもりでパーティーやったんだ、と。
で、しかもどこの会社にしようか?
うちの会社が一番良いから うちの会社に発注したんだ、と。
いや、別にそれは 開示してもらっても結構だ、って、それを正々堂々と打ち出して、実体が伴っていたら 粉飾じゃなかったんですけれど、実際パーティしなかったら 粉飾ですよねっていう。
もうそれを見た時、もうね、 何とも言えないですよね。
何とも言えないって自腹で金払って、いや、100%オーナーの会社じゃないですよ。
もちろん上場しているわけですから。
持ち株比率何%か知りませんけれど。
10%か20%か30%か知りませんけれど、社長が我が身を削って金払って それで粉飾って超可哀想過ぎるって言う、まぁ、もちろん経営管理ができていなくて、予想していた売上利益に到達しない って言うのがダメなんですけれど、さっきのソフトウェアの件もそうですけれど、全て実体が伴っているかどうか、その実体作りをしっかりすることが粉飾じゃないか と突っ込まれる余地をなくすという事に繋がるし、まぁ、実体もなければ現金も伴ってない。 こういうのは粉飾かなと言えると思います。
ただ、例えば、僕が投資する段階において、仮に実体が伴っていたとしても、例えば、社長がパーティー代を 会社に払って売上つけていた、と、で、パーティー会社としてすごい売上利益出た、と、これ社長が買ったんでしょ、みたいな。
会計上あってるかもしれないですけれど、投資する立場としては それはゼロ評価ですからって言って、それをどう評価するかは また別の話なのでね。
ただ、会計上粉飾かどうかって言うのは 実体だって言う事ですね。
粉飾で誰がどう得するか?損するか?
例えば、上場企業で粉飾しました。
はい、これはどんな形で粉飾が行われ どんな形で終了し、誰がどう得して、誰がどう損するのか?
会社側が金融機関や株主に投資して もらったりして得すると思うんですけれど、逆に彼らは損すると思います。
そうですね。半分あってますけれど 半分間違ってますね。
もしも粉飾がバレて 会社がズタボロになったら、そうやってお金を引っ張った人は もしかしたら逮捕されるかもしれないし、その会社がボロボロになるから、その会社にお金を出した人も損しちゃいます、と。
ただ、これ粉飾がバレませんでした って言う話になると、会社側も得だし出資側もいつ損をするのか って言うそういう話ですよね。
じゃあ結局バレなかったらwin-winで バレたらどっちもお終いって事ですか?
そうでしょうね。 ちなみに粉飾決算は、僕らが知っている限りの粉飾決算は 全ての粉飾決算じゃないわけですよ。
当たり前ですけれど。
粉飾決算の内、バレたものを 僕らが全部知っているだけであって、また話は変わりますけれど、例えばライブドアとかも そういったアグレッシブな会計手法を使いながら、株価を上げてました、と。
損した人が声高にニュースとかに出て、ライブドアのせいでいくら損しました とかって言ってますけれど、その裏で株価がそれだけ上がってきて 高値で株をつかんでいるって事は、安値で仕入れたやつが高値でそこで売っていて ボロ儲けしてるって事なんですよね。
意味わかります?このニュアンス。
わかります。
株式マーケットで投資家が一方的に 損するってことはあり得なくて、こっちの投資家が儲かっていたら こっちの投資家が損しているし、この投資家が儲かっていたらこっちが損するし っていうだけの話なので、そうやって儲かった人は何も言わないですよ。 テレビにも出ないし。
こそっと、「俺、良い時に手仕舞ったわー」 と思っているわけですよ。
他はどうですか?
例えば、よくある話が大手企業とかで、良い業績を出したら良い報酬がもらえます みたいな枠組みがあったりするわけですよ。
もしくは良い業績を出したら いろんな雑誌で経営者として讃えられます、と。
で、場合によれば 経団連の会長になります、みたいな。
そういう事とか役職についたりとか そういうことがあるかもしれない、と。
で、問題は そういったようなアグレッシブな会計をすると、バランスシートが傷むわけですね。
バランスシートが傷むって言うのは、資産、実体のない資産が 膨れ上がっていくわけです。
その負の資産を次の、4年とか8年で 社長は変わっていくので、次の社長に引き継いでいくわけですよ。
で、もしもそういうアグレッシブな会計を したけれどバレませんでしたって言ったら、その次の社長が爆弾を背負ったまま、さぁ、どうするか って言う、そういう話なんですよ。
で、無事20年も経てば、その粉飾をした人は ハッピーなまま人生終わるかもしれません。
で、20年後にバレたところで 追求しづらいですよね。
それで最終的にどうなるかって言うと、まぁ、次の社長とかが せっせせっせと減損して、業績を悪化して 業績悪化の責任を取りながら、きれいに正常化する可能性もあるし、はたまた次の社長が その次の世代に横渡しするかもしれないし、もしくは例えば、今回コロナとか なんか大震災とかあった時に、もうコロナのせいで 1000億赤字ですっていう時に、いやいや、ちょっと待て、と。
コロナのタイミングでちょっと腐っている バランスシートを全部正常化しようぜって言って、コロナにかこつけて1000億の赤字を 2000億の赤字にしちゃって、バーンときれいにしちゃう っていうケースもあります。
正直、バランスシートが正常化されたら、つまり過去、過剰気味につけた利益を 費用という形で表現したら、その昔の話を追求するのは 劇的に難しくなるって言うか、誰も突っ込まなくなる。
例えば、毎年の監査法人は バランスシートに積んでいるものが、これ本当の資産ですか? って毎年突っ込むんだけど、資産から除去されたら突っ込む気もなくなるし っていう、そういう力学がありますね。
はい、では、だいたい以上で 粉飾についての概要をご説明しましたが、何かご質問とかありますでしょうか?
ライブドアの話を聞いていて 思ったんですけれど、何が粉飾かっていうのが決まった物 って特にないんですか?
それともなんか決まっていないところを 縫って行ったって感じなんですか?
結局物事最後は裁判で決まるって言えば 裁判で決まるのかもしれません。
誹謗中傷、どこからが誹謗中傷で どこからが誹謗中傷じゃないって、ガイドラインとかがあるけれど、ガイドラインがあったとて 裁判で勝てば、いやこれ、誹謗中傷じゃなかった っていう話だしね、みたいな話だし、そういう意味ではガイドラインはあります。
当時のライブドアがやった事を ガイドラインに照らし合わせると、いや、あれは粉飾とは言えないんじゃないか って言う感じですね。
ありがとうございます。
他はどうですか?
あと、上場前に粉飾がおきやすい っていうのは、でも上場の時ってすごく細かく見られると 思うので何かあまり実感がわかなかったです。
そうですね、多いかどうかはわかりませんが 動機があるって事ですね。
上場するために数字が必要とか。
なので、上場の時に粉飾が多いと言うよりかは、例えば、借り入れをする前にも 粉飾があり得る可能性があるし、上場以外にも第三者割当増資をする時にも 粉飾の可能性があるし。
要は動機がある。
ただ、上場の時は確かにチェックがあるから、いや、こんなチェック出す中ちょっと やめておこうよっていうのは妥当な判断なので、もしかしたら 相対的に少ないかもしれないけれど、ま、でも平場でやる人いないって、何もファイナンスも計画していないし 株主も僕1人ですっていう中で、何故に粉飾するんだって言う話があるから、それに比べるとやっぱり 確率としてはあるかもしれないですよね。
黒子を赤字に見せかける逆粉飾って 何のメリットがあるんですか?
そうですね、一つは これ税務の話ですけれど、利益を出すプレッシャーがない中で 税金を払わななければいけないっていう時に、赤字を出すことによって税金を減らします って言う事があります。
他にもあるのは来期以降黒字にしたい、と。
そんな中、積極的に赤字にするっていうのは あり得る事だと思います。
例えば、コロナで1000億赤字です、と。
で、来期トントンの予想です って言うんだったら、いやいや、もっと落とせるものないの? みたいな。
落とせるものガンガン落とした挙句に 来期黒字でV字回復印象付けようよ。
1000億じゃなくて1500億の赤字にして、来期200億の黒字にするだけでも 全然イメージ違うよね、みたいな。
単なるイメージ操作の問題ですか?そこは。
まぁ、イメージ操作の問題と言えば イメージ操作の問題ですね。
ただ、じゃあ僕が社長として乗り込んで ある会社に。
これ、変にぶよぶよの資産を引っ張って 社長を引き継いだら、この減損リスクを僕が背負うわけですよ。 わかります?
前任の社長から引き継いだら 僕が背負うわけですよ。
で、僕が前任の社長との義理人情関係があって、ちょっとそこは 前任の社長を悪く言うことができないっていう、人間関係だったら手の付けようがないですけれど、だから、内部昇格でかつ院政状態だったら 手の付けようがないですけれど、僕が外部からやってきた社長ならば そういう人間関係もないので、いやいや前の社長ダメでしたよって言って、なんか資産積み上げていますけれど 全部腐ってますよって言って、全部減損しにいくでしょうね、僕は。
で、過剰なまでにきれいさっぱりしてから 経営した方が楽チンと言えば楽チンですから。
あと、これ、ちょっとアグレッシブなので 何とも言えないんですけれど、株価を上げると何が得かって言うと、増資がたくさんできるんですね。 意味わかります?
時価総額100億だと20億しか調達できないけれど 200億にすると40億調達できる、みたいな。
だから株価を引き上げて増資をする、みたいな。
そういう事って、まぁ、 理論的には動機としてはあり得るんですけれど、逆に自社株買いをする時、例えばガイアックスが ガイアックスの株を自分自身が買う時、これは株価が安ければ安い方が得なので、理論的には業績が悪いです っていうインセンティブが働いてますよね。
まぁ、これは未上場マーケットでもそうで、例えば、投資家に投資してもらいました。
1億円投資してもらいました。
その会社は投資して7年経ちました。
投資家としては7年も経つから そろそろ手締まりたいんだけど、と。
適切な価格で売ってくれないか って社長に言うわけですよ。
社長としては昔1億円出資してもらったけれど、もう会社がボロボロすぎて これ値段がつきませんわ、と。
ただ、僕も責任があるので 1000万でよければ僕で買います。
っていうトークの時に、ちょっとこれ業績がめちゃくちゃ良かったら、この日本語が変なわけですよね。
そういう意味では悪いって言いたい という動機はあるでしょうね。
それを粉飾してまでそこまでやるか って言うのは別ですけれど。
力学としては放っておいたら業績は悪くなるので、売上利益を作るには頑張らないと 売上利益はつきませんけれど、赤字をつけるなんて超楽勝で、ちょっとサボって納品遅らそうとか、お客さんの営業とかしなかったら、一瞬で業績悪くなるので。
そういう意味ではあんまり逆粉飾のメリットは ないかもしれないですね。
メリットがないって言うか、粉飾せずとも なりで業績を悪化させられる、と言うか。
なるほど、ありがとうございます。
はい、じゃあ今日は これで終わりたいと思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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