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優先株式の具体的な設計について、特に残余財産優先分配権の「倍数」や「参加型」について具体的な数字も交えてお話しします。ベンチャー企業における優先配当についてもレクチャーします。

上田祐司

株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。

公式サイト: https://yujiueda.com/blog
Twitter: @yujiyuji

富士茜音

ガイアックス 2020年入社

Twitter: @fuji_akane

小林玲雄

大学生 (ガイアックスインターン)

Twitter: @Koba06399647

上田

今日は前回に引き続いて、優先権のお話をしていきたいと思います。
優先権は投資家をより守ると言うか、結果的に起業家が、高い比率を維持できるような設計として、優先株というのがもはや今、ベンチャー業界では 普通になっているのかなと思います。
今日はその設計の細かいところに いきたいと思いますが、お2人で優先株の設計、前回もちょっとだけ頭出ししましたけれど、こういう設計良いなとか、こういう設定で、こういう風に意味があるのではないかとか、そういうことがあれば、是非シェアしてもらえたらと思いますが、アカネさんどうですか?

アカネ

残余財産優先分配権があればあるほど、リスクは低くなる分、会社を保有するという点では、劣後になるという話だったので、その会社が将来うまくいくという 確信があればあるほど、あまり分配権は必要ないという風に 判断するのかなと思います。

上田

そうですね 仰る通りですね。
はい、ではレオさんどうですか?

レオ

設計として参加型優先株式であれば、優先株式として事前に決められている、優先される分配を受けた後、またさらに普通株主と同じ分配も受けられるので、参加型を持ってるのが、ベターなのかなと思います。

上田

そうですね 投資家サイドの視点としては、そういう形で参加型を取ったり、倍数をたくさん取ったり というのがより有利で、巡り巡ってそういったことも含めて アカネさんが言う通り、議決権自体は どれだけ強い権利を取ったところで、議決権自体が劣後することはないけれど、常識的に考えて 強い権利を取れば取るほど、株価自体も高くなっちゃいますよね。
ひいて言うと取れる株数は減っちゃいますよね という力学が働くので、そこら辺の塩梅を見ながら、設計していってもらったらという風に思います。

一般的な優先株式の設計

上田

今日は特に 残余財産優先分配権の辺りを、説明していきたいと思います。
基本的にはこの残余財産優先分配権というのは、優先株として存在するので、上場する時は 優先株が普通株に転換されるので、あまり関係ないです。
高値で売却されるケースでも関係してくるし、安値で売却される時でも関係してくるし、会社を解散して、それこそ残余財産を分配する時にも 関係してくるという話になってきます。
その適正な投資リターンというのが

適正な投資家のリターンは?

上田

どれぐらいの水準なんだろうかというところを、まずイメージしてもらいたいのですけれども

適正なリターン額

上田

例えば1つの事例で、プレマネー、プレ時価総額9億円、で、1億円投資して10%取得しました。
ここまで大丈夫ですか?
ちょっと色々前提は省略していますけれど、誰かが作った会社に 1億円投資して10%取得した。
で、3年後5億円で売却した、とか、3年後15億円で売却したみたいなケースがあります。
倍数の設計とか 参加権の有り無しとかはさておいて、この投資家は5億円のケースと15億円のケースと、どれぐらいリターンを取得するのが適正な感じします?
そしてそれはなぜですか?
個人的フィーリングで良いです。

レオ

5億円か15億円か どちらかですよね?選択肢は。

上田

いや違います。
5億円で売却した時はどれぐらい取得できて という1つ目の話と、全く別の話で、15億円で無事売却できましたという時に、どれくらい取れますか?という話。
正解不正解はないので フィーリングで。

アカネ

5億円の時は、1億円投資した分は もちろん返して欲しいと思うだろうし、そこに少し上乗せした 1.2億円とかが返ってきたら、投資家は満足するかなと思います。
で、15億円で売却した際は、10%だと1.5億円だと思うのですけれど、それだとちょっと満足しない印象はあります。

上田

5,000万円儲かっているけれど、もうちょっと色付けて欲しいな、みたいな。

アカネ

そうですね 本来であればもっと10倍ぐらいになるつもりで、投資したのにというところは 言われそうだと思います。

上田

なるほど レオさんどうですか?

レオ

僕も5億円で売った場合は アカネさんと同じで、1億円は回収したいですし、上乗せで1.2億円ぐらいは 回収したいだろうと思います。
15億円の場合は 元々プレマネー9億円で結構評価も高くて、成長性も期待されていたと思うのですが、それで1.5億円しか返ってこないとなると、期待に沿ってないと言うか。
15億円の場合は 5億円とか回収したいのではないですかね。

上田

なるほど、できれば、って言うか経営陣取り過ぎじゃないか、と。

レオ

そうです。

上田

たかだか15億円程度でしか 売れなかったくせに、と。
酷い時はもっと酷いわけですよね。
残り現金5,000万円しかないところで、会社解散します、みたいな。
酷い時はそういう酷い時だし、うまくいったら100億円とか1,000億円とか、もしくは上場してとか、で、100億円とか1,000億円になってくると、別に参加権がどうとか 関係なくなってくるのです。
分かります?なんとなく。
1億円先取りしたって 大したインパクトないと言うか。
持ち株比率に収斂していくという感じなので。
そういう意味では 中途半端に失敗したケース、中途半端にちょい成功したケース、成功でもないですけれど ベンチャー業界で言うと。
10億円が15億円になったところで。
ちょい失敗ちょい成功のケース話になります今回は。

1倍・非参加型のリターン

上田

ちょっとこれも 4つパターン出しましたが、1倍で非参加型。
恐らくちょっと、僕も正しい情報を ゲットしているわけではないですが、アメリカのスタンダードは こういう形かなと思ってますけれど、1倍で非参加型だと、5億円の時は1倍を使って1億円回収します。
で、15億円で買収された時には、優先株のままだと1倍非参加型なので、優先株のままだと1億円しかもらえないので、普通株式に転換して、優先がない普通株式で、普通株なので当たり前ですが参加型なので、10%取得ということで 1.5億円取得できるというのが、1倍非参加型の仕上がりになります。
ここまで大丈夫ですよね?

アカネ

はい。

1倍・参加型のリターン

上田

続いて 1倍参加型だとどうなるかなと言うと、1億円差し引いた残りの4億円の10%。
もしくは15億円だったら1億円差し引いた後に、14億円の10%の 1.4億円もらえますと言うことで、1.4億円回収か2.4億円回収と なってくるわけです。

1.5倍・非参加型のリターン

上田

続いて1.5倍。
あまり日本でも1.5倍は聞かない。
日本で一番多いのは、さっきの1倍の参加型が多いと思いますが、1.5倍は最近は聞かないですけれど、仮に1.5倍だったら1億円としたら1.5億円。
15億円の時は1.5倍の優先で返ってきても、普通株に転換して参加型にして、10%もらっても同じ金額なので、1.5億円が返ってきますという形になります。

1.5倍・参加型のリターン

上田

で、最後が1.5倍の参加型。
これは結構分厚い保証がついてます という印象ですけれど、5億円の時は1.5取った挙句に、3.5の10%の3,500万円が入ってきます。
15億円の時は、1.5取った挙句に 13.5億円の10%が入ってきます。

ケース分け

上田

これを表にまとめたのが こういう形になりますが、これ見てどういう印象受けますか?

レオ

やっぱり非参加型だと、5億円で売れても15億円で売れても、あまり変わらないなっていう印象なので、やっぱり参加型の方がメリットが大きいと思います。

上田

そうですね。

アカネ

私も同じです。 特に1.5倍の時に、5億円でも15億円でも同じというところが すごい印象的です。
なので参加と非参加で、ここまで変わるんだな という印象を受けました。

上田

そうですね、実際経営者の感覚からしたら、別に5億円出資、今回、例えば1億円調達しなければいけない時に、1億円出資してくれるのだったら、5億円調達しなければならない時に、5億円出資してくれるのだったら、もうぶっちゃけ調達の時の条件が、1倍だろうが1.25倍だろうが1.5倍だろうが、参加型だろうが非参加型だろうが、どっちでもいいみたいな そういう人は多いです。
それより手元に1億円ゲットできれば それでいい、みたいな。
ただ、例えばベンチャーキャピタルとかが 2社、3社集まってきて、いや、うちはこれの条件でいいですよと言って、条件が並び始めると、ま、どうせだったらこっちがいいかな みたいな感じで、1倍非参加型でお願いします。
みたいな感じの時もあったりしますが、それと合わせてやっぱり時価総額ですよね。
時価総額をどこまで 高く引き上げられるのかというのと、調整ではあるので。
ちなみにアメリカが、1倍非参加型が多いのではないかと 僕は思っていますが、特にアンドリーセン・ホロウィッツさんが、というベンチャーキャピタルが、1倍非参加型でうちやりますからと言って、ベンチャー企業から大喝采をあびて、みんなが殺到して、ベンチャーキャピタルとしての マーケティングに、成功したという歴史があるのですが、結構ぱっと見と不利な感じがするのですが、なぜそれでもいいと思うと思います?

アカネ

例えば5億円の ショートエグジットみたいな形でも、数多く投資したいと思っているのであれば、1倍の非参加型で多く出資したい、という動機が働くのかなと思いました。

上田

そうですね 人気を集めたらいっぱい案件来るし、それで出せるかな、みたいな と言うことですか?

アカネ

そうですね。

上田

うん、そういうのもあると思います。
あと、これの前提なのですけれど、10億円で出資して 5億円着地とか15億円着地と言うのが、やっぱりレアだし、レアでもないのですが 結構多いのですが、そういう事も。
巡り巡ってどうでもいい着地と言えば どうでもいい着地なので。
あくまで100億円、1,000億円 だったら関係ないし、その100億円、1,000億円だったら、1倍だろうが1.5倍であろうが、非参加型だろうが参加型だろうが関係ないし、倒産した時は最低限、倒産と言うか、もう本当、解散価値がすごい小さい中で 解散した時には、当然それは起業家が持っていく のなんて許さないという、それがさえできれば まあいいかな、というところもあります。
ちょっとまた話変わっちゃいますが

優先配当5%の設計

上田

優先配当という そういった設計があるのです。
で、正直、まず見ないです。
僕がこれ見たのは一回だけです。
あるベンチャー企業に投資しようと思ったら、前のラウンドで優先配当5%というのが付いていて、で、どんな設計かと言うと、1億円を投資したら1億円の5%である500万円を、その優先株ホルダーに 優先的に配当しなければならない。
例えば1,000万円 今年配当しますとなると、500万円その人に配当した挙句に、残りの500万円を みんなで平等に分けますと言う。
10%なので50万円だから 550万円その人に渡るという話です。
で、これ配当できないと どうなるかと言うと、500万円配当しなければならなかったのに、優先株ホルダーに対して500万円の、未払金じゃないんですが、配当って義務があるわけではないので、将来配当する時には 500万円多めに渡して下さいよ、と言うのは積み上がっていくので、2年後とかだったら、1,000万円先に払ってください という話になります。
ちなみにそれを消化しない 配当せずに、そういった借金っぽいものを 消化しないまま、会社を売却するとなると、その1,000万円が さっきの優先分配に適用されて、その分1,000万円先取りできる、というそういう仕組みです。
これ優先配当5%ってどう思います?

レオ

1億円も投資している投資家からしたら、500万円の配当なんて 雀の涙程度でしかないというか、

上田

そうね。

レオ

どうでもいいと思うんですけれど どうなんですかね?

上田

確かに。そうだと思いますよ。 おっしゃる通り。
アカネさんどうですか?

アカネ

ベンチャー企業で 配当を出すというのは、なかなか先の話になると思うので、これを設計するのは どういう動機があるのか、あまり想像がつかないです。

上田

そうですよね。
ちなみにベンチャー企業は なぜ配当を出さないんでしたっけ?

アカネ

配当を出さずに 次の投資に回していった方が、成長に繋がるからですよね。

上田

そうですよね。
それは出てきたフリーキャッシュフローを 配当に回さず、次の投資に回した方がいいって そういう意味ですよね?

アカネ

はい。

上田

そもそも配当原資と言うか 利益が出てこないんですよね。

アカネ

そうですね。

上田

大赤字でしかも大赤字以上に 投資キャッシュフローもあって、営業キャッシュフローも大赤字。
投資キャッシュフローも大赤字。
だからこそ資金調達している最中に、現金を株主サイドに返しますなんて、アホな事をするはずがないよねと言う、そういう事ですよね。
じゃあこれなぜ これを設計した動機があると思います?
僕もパッと見た瞬間、優先配当?みたいな こんな謎な設計されて、なぜこんな設計しているのですか、みたいな。
配当なんか出すわけないじゃないですか。
そんな出すわけもない配当に、権利を取得しにいこうというのは、いわば投資家としてのエゴも感じるし、かと言って、それ空振りするから 全く意味ないですよね、みたいな。
そういうニュアンスをはじめは感じたのですが、なぜ設定したと思います?

アカネ

前提ですがその配当が 払えなかったっていう状況って、どういう事なんですかね?
どうやって金額が決まるんですか?

上田

配当が払えない時に 借金ではないので、会社が倒産するとかはまずあり得ません。
配当を出す時に優先的に払えという そういうルールなので、で、それが積み重なっていきます。
先に渡さなければならない配当金額が 積み重なっていきます。
で、それが消化できないまま 会社が買収されたり、会社を解散した時には、その金額が優先分配金額に組み込まれます。
つまり1億円出資して1倍だったら、1億円が先取りだと思うのですけれど、1年後は1.05億円になり、2年後は1.1億円になるという話です。

アカネ

これは配当の5%という意味ではなく、出資した金額の5%を、配当として毎年ください ということですか?

上田

そうです。
配当額のうちの5%とかではないです。
出資した金額の5%分を優先しろ という話です。

アカネ

だとすると 保険みたいな形の意味合いで、投資家側がつけたんですかね?
もし倒産した際に 少しでも入ってくるように。

上田

レオさんどうですか?

レオ

先ほど上田さんがおっしゃっていた様に、ありえないと思うのですけれど、投資家のエゴと言うか 少しでも多く回収したい。
アカネさんが言うように 保険みたいな意味合いではないでしょうか?

上田

さっきの優先分配権の話に 戻りますけれど、例えば投資家と起業家が 1倍か1.5倍で揉めたとしますよね。
特に起業家からしたら、色を付けて欲しい と言うのは分かります。
でも今日1億円出資して 明日売却したら、1.5億円になるって おかしくないですかって言って。
これ、どうですか?

アカネ

確かにそうですね。
そこのリスクを背負わなすぎる とは思いますね。

上田

では、どういう設計がいいと思います?

アカネ

いきなり1.5億円ではなく、毎年緩やかに優先権が付与される 形の方が良いかなと思います。

上田

そうですよね。
巡り巡ってこの優先配当どうですか?

アカネ

それで言うと毎年5%ずつ、少しずつ積み重なっていくものなので、起業家からしたらこっちの方がいいですよね。

上田

そうですよね。
起業家も投資家も納得しやすい と言えばしやすいですよね。

アカネ

そうですね。

上田

投資家も今日投資して 明日売却して1が1.5になるって、それはわがまま過ぎますよねと言うのは わかります、みたいな、多分そんな感じだと思うので、一方、資金が5年10年寝た挙句に、1億円しか優先されません。
それ厳しくないですか?みたいな。
金が寝ているの事実ですからって言う。
ですので優先配当という日本語からは 想像つかないですけれど、全く配当を出すつもりはないし、配当で優先的に配られるつもりも さらさらなくて、要は優先金額が1倍から緩やかに 1.05倍、1.1倍、1.15倍に増えていく、という設計の事を指している というそういうことです。
僕もこれは良い、と。
確かに投資家サイドにも企業家サイドにも すごく良い設計なので、1倍にするぐらいとか 1.5倍にするぐらいだったら、優先配当5%がいいのではないか と思っていますが、あまりにも知名度が無さ過ぎて、業界で。 何かわかりますか?
ややこしすぎて説明コストが高いから、あまり使ってませんと言うそういう現実な 今日この頃ではあります。
ちなみにガイアックスグループから カーブアウトする時には、一応のルールとしては 優先配当を5%という設計にしています。
その背景は2つあって、1つは今言った、ガイアックスが1億円出資して作り上げた事業を カーブアウトしました。
経営陣が株の2/3持っていても、株の1/3もっていようが、半分持っていようが 2/3持っていようが、いろんなパターンがあるので、経営陣の持ち株比率がどうであれ、ガイアックスとしては 出した1億円は優先させてくれ、と言うのが一番重要な事です。
で、できればその1億円が寝ている間、金額が増えないのは納得いかないから、5%増やしてくれと さっき言っていた話が1つ。
もう1つはガイアックスが進めている カーブアウトというのは、上場するような会社に限り カーブアウトしてもらって、上場を目指すというのが ルールではないです。
意味分かります?
もはや経営方針は 結構、経営陣に任せますし、ガイアックスもファンドではないので、7年でエグジットしてくださいという、そういうルールが あるわけでもないわけです。
普通のベンチャーキャピタルは、ファンド7年間はお金預からしてくださいって 銀行とかから集めてきて、それを投資に回しているので、7年以内に回収しないといけないから、これ20年ずっと利益出していますよ と言われても、それって何の意味があるんですか?っていう、そういう会話になってしまいますが、つまりエグジットしてくれと言う、現金で変わるきっかけをくれと言うのが、ベンチャーキャピタルの方針ですけれど、ガイアックスは手金で、ガイアックスの上場企業としての 自社のアセットから投資をしているので、別に(ファンドとしての最終の)期末が あるわけではないです。
で、巡り巡って、上場してエグジット しなければならない必然性もなくって、別に毎年3,000万円とか 5,000万円の利益はあげています。
投資して上場目指してもいいけれど 割が悪いです。
今のまま3,000万円、5,000万円 永久に利益出している方が得です。
みたいな人が、みたいな事業だって あるわけですよね。
その時にガイアックスとしては、1億円突っ込んで出来た事業だったら、3,000万円利益が出て 3,000万円丸々配当に回すと言うのだったら、1億円出した分起業家の皆さんに 持ち株比率で配りよりも、ガイアックスの方に 500万円は先に優先させてくれよ、と。
それを超えた分は持ち株比率で分けようよ。
だったらこちらだって 別にずっと配当しておいてくれれば、別に業績が良いそんな事業・チームに対して 文句言わない、みたいな、そのような形で作っています。
ガイアックスは全事業部が、カーブアウトするのは自由になっていて、必ずしも 上場を目指しているような事業もあれば、目指せない事業もあるので、どちらのパターンでも対応できるように、こういうのを設定してると言う感じです。
今日はだいたい以上ですが、全体を通して何かご質問はありますか?
簡単だったから大丈夫かな?

レオ

優先配当のパーセンテージって、どのくらいのペースで上げていくのですか?
ベンチャーの成長のフェーズに よって変わったりするのですか?

上田

いや、まずあまり世で見ないですよね。
1回見た事があるのが5%ですけれど、他でもあまり見ないし、なんか噂で聞くところによると 5%ぐらいではないかという話を聞きます。
ちなみにガイアックスも5%にしています。
ですので、あまりベンチャーのフェーズとかには 連動してないですね。
優先金額が1倍か1.5倍か、この1.5倍にする時って、ベンチャーのフェーズによりますか?みたいな。
いや、1.5倍にするけれど、1.5倍にするのだって ベンチャーのフェーズによらないかもね。
みたいなそういう会話に 近いかもしれないですね。

レオ

なるほど。

上田

はい、他はどうですか?

アカネ

優先配当で設計するデメリットとしては、投資家側からすると早めのエグジットの場合、入ってくるお金が だいぶ少なくなってしまいますよね?

上田

少なくなるって言っても、例えば1年目は1倍で 2年目に突入したら1.05倍で、3年目に突入すると1.1倍になるわけじゃないですか?

アカネ

はい。

上田

正直、投資家からすると、5%ずつ増えるのはありがたいけれども、やっぱり利回りなので、早く返ってきてくれた方が嬉しい。
例えばガイアックスという会社が過去10年、例えば、ちょっと実数ではないですが、30億円投資した。 大丈夫ですか?

アカネ

はい。

上田

ガイアックスが30億円の 現金持っていると思います?

アカネ

持ってないですね。

上田

じゃあ どうやって30億円投資したと思います?

レオ

それはベンチャーキャピタルの ビジネスモデルと同じで、いろんな機関投資家とかから 回収したのではないですか?

上田

いやしてないです。 ガイアックス自社で投資してるのですよ。
例えば、手持ちの現金が 10億円だったとしてもですよ。
投資しても2〜3年で大成功したり、大成功ではないけれど、投資金額プラスアルファで 返ってきたりするのですよね。
で、返ってきたらまた投資できるわけですよ。 何か分かります?
これが投資した10億円のうち、5億円投資した会社が10年間寝てました。
確かに優先配当で5%付いた方が嬉しいけれど、寝てましたって 言われるのも辛いなって感じ。
寝てた挙句に1倍で返ってきたら もっと辛いけれど。

アカネ

今ちょっとあまり ついていけなかったのですけれど、最初のその30億円のところは 結果どうやって投資するのですか?

上田

つまり 1年目に10億円投資しました。
2年も3年も4年も経ってくると、10億円のうち 会社を売却したり上場したりして、エグジットできるケースが出てくるのですよ。
ガイアックスの投資案件で。
例えばある案件が 5億円で売却できましたと言ったら、ガイアックスに5億円が 入金されるわけですよね。
その5億円をまた投資に回せるわけですよ。
だから、今日時点の 累積簿価が30億円なのではなくて、10年間の投資実績が30億円だという話です。
実数ではないですよ。
実際もうちょっと別の数値ですけれど 例えばで言うと。

アカネ

ふんふんふん。

上田

だからくるくる回ってるのですよ、お金が。
要はお金って存在するだけで コストがかかるのですね。
金を借りてきたら金利が発生するし、これまで言ってきたとおり、株主からお金を集めたら、金利以上のリターンを 株主は求めているわけだから、もっとリターンを出さないと いけないわけです。
その貴重な金をどこに突っ込むかって、ベンチャー企業に突っ込みました。
リターンが毎年5%ずつ 増えてきますと言われても、5%って本当最低クラスだよね、みたいな。
タイムズカーシェア借りて、4時間で2000円払います。
それとは別に 走行距離×10円もらいます、みたいな。
なんかノリで言うと それは単なるガソリン代で、別にすごく嬉しいわけでもないって言うか。 ニュアンス的には。
そういう感じなのではないかなと思います。
どうですか?アカネさん 今の話は。

アカネ

優先配当がそこまで強く メリットになるとかデメリットになるとか、投資家からすればやっぱり あまりないって事ですよね。

上田

そうですね 投資家からしたら、優先分配権の方を 1倍より1.5倍の方が嬉しいじゃないですか?

アカネ

はい。

上田

出資して1.5倍がついたら、お金を投資した期間分のリターンは、1.5倍の方で返ってきそうだから。
最低限のところですけれど、でも投資した翌日 1日しか現金を寝かしていないのに、1日で50%の利回りだったら すごい事じゃないですか。
ですので、1日後に50%の利回りは 求めませんという観点で言うと、優先配当みたいな設計の方が 投資家としても納得しやすいと言うか。
起業家の方も納得しやすいし、確かに現金を1年寝たら その分、価値は上昇したいと思いますよねって言う。
さっき4パターン出したと思いますが、あの時4パターン出した時 3年後という仮説を書いたわけです。
あれが3年後ではなく10年後だったら、またちょっと 受けている印象も違うと思うのです。
もしくは3日後だったらこれまた 受けている印象も違うと思うのですよ。
ただ、一般の1倍、1.5倍とか 参加権有り無しとかって言うのは、期間に応じて金額は変わってこないので

アカネ

結構、乱暴なルールだけど、それが今 スタンダードになっているって事ですね。

上田

そう、まさにそう。
そういう日本語が一番フィットしますね。
若干乱暴、でも分かりやすいって言う。
そういう意味では優先配当の方が はるかに丁寧な設計だけど、世界的に流行ってないから使えません と言うそういう話です。

アカネ

分かりました ありがとうございます。

上田

では、ありがとうございました。

アカネ

ありがとうございました。

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