優先株式増資の際に、企業価値が…

優先株式の具体的な設計について、特に残余財産優先分配権の「倍数」や「参加型」について具体的な数字も交えてお話しします。ベンチャー企業における優先配当についてもレクチャーします。
目次

上田祐司
株式会社ガイアックス 代表執行役
ガイアックスでは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー事業を展開。また起業家が集うスタートアップスタジオという側面も持ち、社会課題を解決するための事業づくりサポート、投資を行う。シェアリングエコノミー協会代表理事。
公式サイト: https://yujiueda.com/blog
Twitter: @yujiyuji


今日は前回に引き続いて、優先権のお話をしていきたいと思います。
優先権は投資家をより守ると言うか、結果的に起業家が、高い比率を維持できるような設計として、優先株というのがもはや今、ベンチャー業界では 普通になっているのかなと思います。
今日はその設計の細かいところに いきたいと思いますが、お2人で優先株の設計、前回もちょっとだけ頭出ししましたけれど、こういう設計良いなとか、こういう設定で、こういう風に意味があるのではないかとか、そういうことがあれば、是非シェアしてもらえたらと思いますが、アカネさんどうですか?
残余財産優先分配権があればあるほど、リスクは低くなる分、会社を保有するという点では、劣後になるという話だったので、その会社が将来うまくいくという 確信があればあるほど、あまり分配権は必要ないという風に 判断するのかなと思います。
そうですね 仰る通りですね。
はい、ではレオさんどうですか?
設計として参加型優先株式であれば、優先株式として事前に決められている、優先される分配を受けた後、またさらに普通株主と同じ分配も受けられるので、参加型を持ってるのが、ベターなのかなと思います。
そうですね 投資家サイドの視点としては、そういう形で参加型を取ったり、倍数をたくさん取ったり というのがより有利で、巡り巡ってそういったことも含めて アカネさんが言う通り、議決権自体は どれだけ強い権利を取ったところで、議決権自体が劣後することはないけれど、常識的に考えて 強い権利を取れば取るほど、株価自体も高くなっちゃいますよね。
ひいて言うと取れる株数は減っちゃいますよね という力学が働くので、そこら辺の塩梅を見ながら、設計していってもらったらという風に思います。
一般的な優先株式の設計
今日は特に 残余財産優先分配権の辺りを、説明していきたいと思います。
基本的にはこの残余財産優先分配権というのは、優先株として存在するので、上場する時は 優先株が普通株に転換されるので、あまり関係ないです。
高値で売却されるケースでも関係してくるし、安値で売却される時でも関係してくるし、会社を解散して、それこそ残余財産を分配する時にも 関係してくるという話になってきます。
その適正な投資リターンというのが
適正な投資家のリターンは?
どれぐらいの水準なんだろうかというところを、まずイメージしてもらいたいのですけれども
適正なリターン額
例えば1つの事例で、プレマネー、プレ時価総額9億円、で、1億円投資して10%取得しました。
ここまで大丈夫ですか?
ちょっと色々前提は省略していますけれど、誰かが作った会社に 1億円投資して10%取得した。
で、3年後5億円で売却した、とか、3年後15億円で売却したみたいなケースがあります。
倍数の設計とか 参加権の有り無しとかはさておいて、この投資家は5億円のケースと15億円のケースと、どれぐらいリターンを取得するのが適正な感じします?
そしてそれはなぜですか?
個人的フィーリングで良いです。
5億円か15億円か どちらかですよね?選択肢は。
いや違います。
5億円で売却した時はどれぐらい取得できて という1つ目の話と、全く別の話で、15億円で無事売却できましたという時に、どれくらい取れますか?という話。
正解不正解はないので フィーリングで。
5億円の時は、1億円投資した分は もちろん返して欲しいと思うだろうし、そこに少し上乗せした 1.2億円とかが返ってきたら、投資家は満足するかなと思います。
で、15億円で売却した際は、10%だと1.5億円だと思うのですけれど、それだとちょっと満足しない印象はあります。
5,000万円儲かっているけれど、もうちょっと色付けて欲しいな、みたいな。
そうですね 本来であればもっと10倍ぐらいになるつもりで、投資したのにというところは 言われそうだと思います。
なるほど レオさんどうですか?
僕も5億円で売った場合は アカネさんと同じで、1億円は回収したいですし、上乗せで1.2億円ぐらいは 回収したいだろうと思います。
15億円の場合は 元々プレマネー9億円で結構評価も高くて、成長性も期待されていたと思うのですが、それで1.5億円しか返ってこないとなると、期待に沿ってないと言うか。
15億円の場合は 5億円とか回収したいのではないですかね。
なるほど、できれば、って言うか経営陣取り過ぎじゃないか、と。
そうです。
たかだか15億円程度でしか 売れなかったくせに、と。
酷い時はもっと酷いわけですよね。
残り現金5,000万円しかないところで、会社解散します、みたいな。
酷い時はそういう酷い時だし、うまくいったら100億円とか1,000億円とか、もしくは上場してとか、で、100億円とか1,000億円になってくると、別に参加権がどうとか 関係なくなってくるのです。
分かります?なんとなく。
1億円先取りしたって 大したインパクトないと言うか。
持ち株比率に収斂していくという感じなので。
そういう意味では 中途半端に失敗したケース、中途半端にちょい成功したケース、成功でもないですけれど ベンチャー業界で言うと。
10億円が15億円になったところで。
ちょい失敗ちょい成功のケース話になります今回は。
1倍・非参加型のリターン
ちょっとこれも 4つパターン出しましたが、1倍で非参加型。
恐らくちょっと、僕も正しい情報を ゲットしているわけではないですが、アメリカのスタンダードは こういう形かなと思ってますけれど、1倍で非参加型だと、5億円の時は1倍を使って1億円回収します。
で、15億円で買収された時には、優先株のままだと1倍非参加型なので、優先株のままだと1億円しかもらえないので、普通株式に転換して、優先がない普通株式で、普通株なので当たり前ですが参加型なので、10%取得ということで 1.5億円取得できるというのが、1倍非参加型の仕上がりになります。
ここまで大丈夫ですよね?
はい。
1倍・参加型のリターン
続いて 1倍参加型だとどうなるかなと言うと、1億円差し引いた残りの4億円の10%。
もしくは15億円だったら1億円差し引いた後に、14億円の10%の 1.4億円もらえますと言うことで、1.4億円回収か2.4億円回収と なってくるわけです。
1.5倍・非参加型のリターン
続いて1.5倍。
あまり日本でも1.5倍は聞かない。
日本で一番多いのは、さっきの1倍の参加型が多いと思いますが、1.5倍は最近は聞かないですけれど、仮に1.5倍だったら1億円としたら1.5億円。
15億円の時は1.5倍の優先で返ってきても、普通株に転換して参加型にして、10%もらっても同じ金額なので、1.5億円が返ってきますという形になります。
1.5倍・参加型のリターン
で、最後が1.5倍の参加型。
これは結構分厚い保証がついてます という印象ですけれど、5億円の時は1.5取った挙句に、3.5の10%の3,500万円が入ってきます。
15億円の時は、1.5取った挙句に 13.5億円の10%が入ってきます。
ケース分け
これを表にまとめたのが こういう形になりますが、これ見てどういう印象受けますか?
やっぱり非参加型だと、5億円で売れても15億円で売れても、あまり変わらないなっていう印象なので、やっぱり参加型の方がメリットが大きいと思います。
そうですね。
私も同じです。 特に1.5倍の時に、5億円でも15億円でも同じというところが すごい印象的です。
なので参加と非参加で、ここまで変わるんだな という印象を受けました。
そうですね、実際経営者の感覚からしたら、別に5億円出資、今回、例えば1億円調達しなければいけない時に、1億円出資してくれるのだったら、5億円調達しなければならない時に、5億円出資してくれるのだったら、もうぶっちゃけ調達の時の条件が、1倍だろうが1.25倍だろうが1.5倍だろうが、参加型だろうが非参加型だろうが、どっちでもいいみたいな そういう人は多いです。
それより手元に1億円ゲットできれば それでいい、みたいな。
ただ、例えばベンチャーキャピタルとかが 2社、3社集まってきて、いや、うちはこれの条件でいいですよと言って、条件が並び始めると、ま、どうせだったらこっちがいいかな みたいな感じで、1倍非参加型でお願いします。
みたいな感じの時もあったりしますが、それと合わせてやっぱり時価総額ですよね。
時価総額をどこまで 高く引き上げられるのかというのと、調整ではあるので。
ちなみにアメリカが、1倍非参加型が多いのではないかと 僕は思っていますが、特にアンドリーセン・ホロウィッツさんが、というベンチャーキャピタルが、1倍非参加型でうちやりますからと言って、ベンチャー企業から大喝采をあびて、みんなが殺到して、ベンチャーキャピタルとしての マーケティングに、成功したという歴史があるのですが、結構ぱっと見と不利な感じがするのですが、なぜそれでもいいと思うと思います?
例えば5億円の ショートエグジットみたいな形でも、数多く投資したいと思っているのであれば、1倍の非参加型で多く出資したい、という動機が働くのかなと思いました。
そうですね 人気を集めたらいっぱい案件来るし、それで出せるかな、みたいな と言うことですか?
そうですね。
うん、そういうのもあると思います。
あと、これの前提なのですけれど、10億円で出資して 5億円着地とか15億円着地と言うのが、やっぱりレアだし、レアでもないのですが 結構多いのですが、そういう事も。
巡り巡ってどうでもいい着地と言えば どうでもいい着地なので。
あくまで100億円、1,000億円 だったら関係ないし、その100億円、1,000億円だったら、1倍だろうが1.5倍であろうが、非参加型だろうが参加型だろうが関係ないし、倒産した時は最低限、倒産と言うか、もう本当、解散価値がすごい小さい中で 解散した時には、当然それは起業家が持っていく のなんて許さないという、それがさえできれば まあいいかな、というところもあります。
ちょっとまた話変わっちゃいますが
優先配当5%の設計
優先配当という そういった設計があるのです。
で、正直、まず見ないです。
僕がこれ見たのは一回だけです。
あるベンチャー企業に投資しようと思ったら、前のラウンドで優先配当5%というのが付いていて、で、どんな設計かと言うと、1億円を投資したら1億円の5%である500万円を、その優先株ホルダーに 優先的に配当しなければならない。
例えば1,000万円 今年配当しますとなると、500万円その人に配当した挙句に、残りの500万円を みんなで平等に分けますと言う。
10%なので50万円だから 550万円その人に渡るという話です。
で、これ配当できないと どうなるかと言うと、500万円配当しなければならなかったのに、優先株ホルダーに対して500万円の、未払金じゃないんですが、配当って義務があるわけではないので、将来配当する時には 500万円多めに渡して下さいよ、と言うのは積み上がっていくので、2年後とかだったら、1,000万円先に払ってください という話になります。
ちなみにそれを消化しない 配当せずに、そういった借金っぽいものを 消化しないまま、会社を売却するとなると、その1,000万円が さっきの優先分配に適用されて、その分1,000万円先取りできる、というそういう仕組みです。
これ優先配当5%ってどう思います?
1億円も投資している投資家からしたら、500万円の配当なんて 雀の涙程度でしかないというか、
そうね。
どうでもいいと思うんですけれど どうなんですかね?
確かに。そうだと思いますよ。 おっしゃる通り。
アカネさんどうですか?
ベンチャー企業で 配当を出すというのは、なかなか先の話になると思うので、これを設計するのは どういう動機があるのか、あまり想像がつかないです。
そうですよね。
ちなみにベンチャー企業は なぜ配当を出さないんでしたっけ?
配当を出さずに 次の投資に回していった方が、成長に繋がるからですよね。
そうですよね。
それは出てきたフリーキャッシュフローを 配当に回さず、次の投資に回した方がいいって そういう意味ですよね?
はい。
そもそも配当原資と言うか 利益が出てこないんですよね。
そうですね。
大赤字でしかも大赤字以上に 投資キャッシュフローもあって、営業キャッシュフローも大赤字。
投資キャッシュフローも大赤字。
だからこそ資金調達している最中に、現金を株主サイドに返しますなんて、アホな事をするはずがないよねと言う、そういう事ですよね。
じゃあこれなぜ これを設計した動機があると思います?
僕もパッと見た瞬間、優先配当?みたいな こんな謎な設計されて、なぜこんな設計しているのですか、みたいな。
配当なんか出すわけないじゃないですか。
そんな出すわけもない配当に、権利を取得しにいこうというのは、いわば投資家としてのエゴも感じるし、かと言って、それ空振りするから 全く意味ないですよね、みたいな。
そういうニュアンスをはじめは感じたのですが、なぜ設定したと思います?
前提ですがその配当が 払えなかったっていう状況って、どういう事なんですかね?
どうやって金額が決まるんですか?
配当が払えない時に 借金ではないので、会社が倒産するとかはまずあり得ません。
配当を出す時に優先的に払えという そういうルールなので、で、それが積み重なっていきます。
先に渡さなければならない配当金額が 積み重なっていきます。
で、それが消化できないまま 会社が買収されたり、会社を解散した時には、その金額が優先分配金額に組み込まれます。
つまり1億円出資して1倍だったら、1億円が先取りだと思うのですけれど、1年後は1.05億円になり、2年後は1.1億円になるという話です。
これは配当の5%という意味ではなく、出資した金額の5%を、配当として毎年ください ということですか?
そうです。
配当額のうちの5%とかではないです。
出資した金額の5%分を優先しろ という話です。
だとすると 保険みたいな形の意味合いで、投資家側がつけたんですかね?
もし倒産した際に 少しでも入ってくるように。
レオさんどうですか?
先ほど上田さんがおっしゃっていた様に、ありえないと思うのですけれど、投資家のエゴと言うか 少しでも多く回収したい。
アカネさんが言うように 保険みたいな意味合いではないでしょうか?
さっきの優先分配権の話に 戻りますけれど、例えば投資家と起業家が 1倍か1.5倍で揉めたとしますよね。
特に起業家からしたら、色を付けて欲しい と言うのは分かります。
でも今日1億円出資して 明日売却したら、1.5億円になるって おかしくないですかって言って。
これ、どうですか?
確かにそうですね。
そこのリスクを背負わなすぎる とは思いますね。
では、どういう設計がいいと思います?
いきなり1.5億円ではなく、毎年緩やかに優先権が付与される 形の方が良いかなと思います。
そうですよね。
巡り巡ってこの優先配当どうですか?
それで言うと毎年5%ずつ、少しずつ積み重なっていくものなので、起業家からしたらこっちの方がいいですよね。
そうですよね。
起業家も投資家も納得しやすい と言えばしやすいですよね。
そうですね。
投資家も今日投資して 明日売却して1が1.5になるって、それはわがまま過ぎますよねと言うのは わかります、みたいな、多分そんな感じだと思うので、一方、資金が5年10年寝た挙句に、1億円しか優先されません。
それ厳しくないですか?みたいな。
金が寝ているの事実ですからって言う。
ですので優先配当という日本語からは 想像つかないですけれど、全く配当を出すつもりはないし、配当で優先的に配られるつもりも さらさらなくて、要は優先金額が1倍から緩やかに 1.05倍、1.1倍、1.15倍に増えていく、という設計の事を指している というそういうことです。
僕もこれは良い、と。
確かに投資家サイドにも企業家サイドにも すごく良い設計なので、1倍にするぐらいとか 1.5倍にするぐらいだったら、優先配当5%がいいのではないか と思っていますが、あまりにも知名度が無さ過ぎて、業界で。 何かわかりますか?
ややこしすぎて説明コストが高いから、あまり使ってませんと言うそういう現実な 今日この頃ではあります。
ちなみにガイアックスグループから カーブアウトする時には、一応のルールとしては 優先配当を5%という設計にしています。
その背景は2つあって、1つは今言った、ガイアックスが1億円出資して作り上げた事業を カーブアウトしました。
経営陣が株の2/3持っていても、株の1/3もっていようが、半分持っていようが 2/3持っていようが、いろんなパターンがあるので、経営陣の持ち株比率がどうであれ、ガイアックスとしては 出した1億円は優先させてくれ、と言うのが一番重要な事です。
で、できればその1億円が寝ている間、金額が増えないのは納得いかないから、5%増やしてくれと さっき言っていた話が1つ。
もう1つはガイアックスが進めている カーブアウトというのは、上場するような会社に限り カーブアウトしてもらって、上場を目指すというのが ルールではないです。
意味分かります?
もはや経営方針は 結構、経営陣に任せますし、ガイアックスもファンドではないので、7年でエグジットしてくださいという、そういうルールが あるわけでもないわけです。
普通のベンチャーキャピタルは、ファンド7年間はお金預からしてくださいって 銀行とかから集めてきて、それを投資に回しているので、7年以内に回収しないといけないから、これ20年ずっと利益出していますよ と言われても、それって何の意味があるんですか?っていう、そういう会話になってしまいますが、つまりエグジットしてくれと言う、現金で変わるきっかけをくれと言うのが、ベンチャーキャピタルの方針ですけれど、ガイアックスは手金で、ガイアックスの上場企業としての 自社のアセットから投資をしているので、別に(ファンドとしての最終の)期末が あるわけではないです。
で、巡り巡って、上場してエグジット しなければならない必然性もなくって、別に毎年3,000万円とか 5,000万円の利益はあげています。
投資して上場目指してもいいけれど 割が悪いです。
今のまま3,000万円、5,000万円 永久に利益出している方が得です。
みたいな人が、みたいな事業だって あるわけですよね。
その時にガイアックスとしては、1億円突っ込んで出来た事業だったら、3,000万円利益が出て 3,000万円丸々配当に回すと言うのだったら、1億円出した分起業家の皆さんに 持ち株比率で配りよりも、ガイアックスの方に 500万円は先に優先させてくれよ、と。
それを超えた分は持ち株比率で分けようよ。
だったらこちらだって 別にずっと配当しておいてくれれば、別に業績が良いそんな事業・チームに対して 文句言わない、みたいな、そのような形で作っています。
ガイアックスは全事業部が、カーブアウトするのは自由になっていて、必ずしも 上場を目指しているような事業もあれば、目指せない事業もあるので、どちらのパターンでも対応できるように、こういうのを設定してると言う感じです。
今日はだいたい以上ですが、全体を通して何かご質問はありますか?
簡単だったから大丈夫かな?
優先配当のパーセンテージって、どのくらいのペースで上げていくのですか?
ベンチャーの成長のフェーズに よって変わったりするのですか?
いや、まずあまり世で見ないですよね。
1回見た事があるのが5%ですけれど、他でもあまり見ないし、なんか噂で聞くところによると 5%ぐらいではないかという話を聞きます。
ちなみにガイアックスも5%にしています。
ですので、あまりベンチャーのフェーズとかには 連動してないですね。
優先金額が1倍か1.5倍か、この1.5倍にする時って、ベンチャーのフェーズによりますか?みたいな。
いや、1.5倍にするけれど、1.5倍にするのだって ベンチャーのフェーズによらないかもね。
みたいなそういう会話に 近いかもしれないですね。
なるほど。
はい、他はどうですか?
優先配当で設計するデメリットとしては、投資家側からすると早めのエグジットの場合、入ってくるお金が だいぶ少なくなってしまいますよね?
少なくなるって言っても、例えば1年目は1倍で 2年目に突入したら1.05倍で、3年目に突入すると1.1倍になるわけじゃないですか?
はい。
正直、投資家からすると、5%ずつ増えるのはありがたいけれども、やっぱり利回りなので、早く返ってきてくれた方が嬉しい。
例えばガイアックスという会社が過去10年、例えば、ちょっと実数ではないですが、30億円投資した。 大丈夫ですか?
はい。
ガイアックスが30億円の 現金持っていると思います?
持ってないですね。
じゃあ どうやって30億円投資したと思います?
それはベンチャーキャピタルの ビジネスモデルと同じで、いろんな機関投資家とかから 回収したのではないですか?
いやしてないです。 ガイアックス自社で投資してるのですよ。
例えば、手持ちの現金が 10億円だったとしてもですよ。
投資しても2〜3年で大成功したり、大成功ではないけれど、投資金額プラスアルファで 返ってきたりするのですよね。
で、返ってきたらまた投資できるわけですよ。 何か分かります?
これが投資した10億円のうち、5億円投資した会社が10年間寝てました。
確かに優先配当で5%付いた方が嬉しいけれど、寝てましたって 言われるのも辛いなって感じ。
寝てた挙句に1倍で返ってきたら もっと辛いけれど。
今ちょっとあまり ついていけなかったのですけれど、最初のその30億円のところは 結果どうやって投資するのですか?
つまり 1年目に10億円投資しました。
2年も3年も4年も経ってくると、10億円のうち 会社を売却したり上場したりして、エグジットできるケースが出てくるのですよ。
ガイアックスの投資案件で。
例えばある案件が 5億円で売却できましたと言ったら、ガイアックスに5億円が 入金されるわけですよね。
その5億円をまた投資に回せるわけですよ。
だから、今日時点の 累積簿価が30億円なのではなくて、10年間の投資実績が30億円だという話です。
実数ではないですよ。
実際もうちょっと別の数値ですけれど 例えばで言うと。
ふんふんふん。
だからくるくる回ってるのですよ、お金が。
要はお金って存在するだけで コストがかかるのですね。
金を借りてきたら金利が発生するし、これまで言ってきたとおり、株主からお金を集めたら、金利以上のリターンを 株主は求めているわけだから、もっとリターンを出さないと いけないわけです。
その貴重な金をどこに突っ込むかって、ベンチャー企業に突っ込みました。
リターンが毎年5%ずつ 増えてきますと言われても、5%って本当最低クラスだよね、みたいな。
タイムズカーシェア借りて、4時間で2000円払います。
それとは別に 走行距離×10円もらいます、みたいな。
なんかノリで言うと それは単なるガソリン代で、別にすごく嬉しいわけでもないって言うか。 ニュアンス的には。
そういう感じなのではないかなと思います。
どうですか?アカネさん 今の話は。
優先配当がそこまで強く メリットになるとかデメリットになるとか、投資家からすればやっぱり あまりないって事ですよね。
そうですね 投資家からしたら、優先分配権の方を 1倍より1.5倍の方が嬉しいじゃないですか?
はい。
出資して1.5倍がついたら、お金を投資した期間分のリターンは、1.5倍の方で返ってきそうだから。
最低限のところですけれど、でも投資した翌日 1日しか現金を寝かしていないのに、1日で50%の利回りだったら すごい事じゃないですか。
ですので、1日後に50%の利回りは 求めませんという観点で言うと、優先配当みたいな設計の方が 投資家としても納得しやすいと言うか。
起業家の方も納得しやすいし、確かに現金を1年寝たら その分、価値は上昇したいと思いますよねって言う。
さっき4パターン出したと思いますが、あの時4パターン出した時 3年後という仮説を書いたわけです。
あれが3年後ではなく10年後だったら、またちょっと 受けている印象も違うと思うのです。
もしくは3日後だったらこれまた 受けている印象も違うと思うのですよ。
ただ、一般の1倍、1.5倍とか 参加権有り無しとかって言うのは、期間に応じて金額は変わってこないので
結構、乱暴なルールだけど、それが今 スタンダードになっているって事ですね。
そう、まさにそう。
そういう日本語が一番フィットしますね。
若干乱暴、でも分かりやすいって言う。
そういう意味では優先配当の方が はるかに丁寧な設計だけど、世界的に流行ってないから使えません と言うそういう話です。
分かりました ありがとうございます。
では、ありがとうございました。
ありがとうございました。
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